ダウ銘柄入れ替え。ダウ平均は米国経済を代表していない? インデックス投資を過信するな!

オザワークスです。

コロナで大損して以降、不安定な個別株投資は控え、ETFへの投資をコツコツと続けています。

7つの長期的に価値の上がるETF

  • 【VOO】バンガードS&P500ETF
  • 【IVV】iシェアーズ・コアS&P500ETF
  • 【SPY】SPDR S&P500ETF
  • 【VTI】バンガード・トータル・ストック・マーケット
  • 【VT】バンガード・トータル・ワールド・ストック
  • 【DIA】SPDRダウ工業株平均ETF
  • 【QQQ】インベスコQQQ信託シリーズ1

これらのETFへの投資が正しいと信じて、コロナショック以後粛々と投資を続けてまいりました。

しかし!

これ正しいように見えて、実は大きな罠にハマってね?

と早くもETFへの投資に疑念が生まれました。

ETFへの投資は正しいのか否か?

そう思ったきっかけは、8月のダウ平均の銘柄入れ替えでした……。

2020年8月、ダウ平均は銘柄を入れ替えた

2020年8月、米国経済のみならず世界経済の指標ともなるダウ・ジョーンズ工業株価平均30種(いわゆるダウ平均)を構成する銘柄の入れ替えが行われました。

ダウ平均とは、米国S&Pダウ・ジョーンズ社が発表する株価指数です。わからんぞという人はこちらの記事を。

銘柄入れ替えの理由は、簡単に言えばダウ平均をもっと上がるようにする、です。

ダウ平均は米国を代表する30社の株価を全部足して30で割ることで算出されます(ホントはもうちょいフクザツ)。ダウ平均の「平均」は、株価の平均なわけですね。

ということは、ダウ平均の構成銘柄の株価が上がれば、ダウ平均も「平均株価」だから上がる。

逆を言えば、ダウ平均の中に株価の上がらない、または低い銘柄が入っているとそれだけでおジャマということになります。

だから、2020年の8月に、

  • 製薬・【PFE】ファイザー
  • 石油・【XOM】エクソン・モービル
  • 資本財・【RTX】レイセオン・テクノロジーズ

の3社を外して、

  • 製薬・【AMGN】アムジェン
  • 資本財・【HON】ハネウェル・インターナショナル
  • IT・【CRM】セールスフォース・ドットコム

の3社を新たにダウ平均に加えられました。

まあ、同時期に【AAPL】アップルの株式分割があり、ITセクターの比率が下がることを避けるためにCRMを入れ込んだという事情もあります。

が、それだって目的は、今後ますます伸びてゆくであろうITセクターを利用した「ダウ平均の上昇」に他なりません。

こうしてときどき構成銘柄を入れ替えることで、ダウ平均という株価指数を作っているS&Pダウ・ジョーンズ社はダウ平均を上げようとしています。

そして、これまではそうやって上げてきていたし、これからもダウ平均は伸びてゆくのでしょう。

メデタシメデタシ。

ダウ銘柄入れ替えへの違和感

と、簡単には思わない男がここに1人。ぼくです。

8月のダウ平均の銘柄入れ替えを見て、ぼくは違和感を感じました。

あれ? ダウ平均は米国経済や世界経済を計る指標で、そのダウ平均が上がるのって、米国経済や世界経済などの経済全体が成長するから、だよね?

資本主義下において米国経済や世界経済はどのみち成長するから、その経済全体に投資するのが正解。だからダウ平均は上がるし、ダウ平均に投資するのも正解。

ダウ平均などの広く分散された株価指数に投資するインデックス投資が、投資の最適解、ですよね?

みたいな記事を過去に書いちゃってますよ!

で、も、だったらダウ平均の銘柄入れ替えが、ダウ平均の上昇を目的として行われるって、なんか変じゃないか?

ダウ平均って、米国経済を映しているんですよね?

だったら、株価が上がりそうな銘柄は株価が上がりそうだから入れて、下がりそうな銘柄を外すってなんかちょっと変じゃないか?

ダウ平均を決める人「この銘柄将来株価上がりそー! 入れちゃえー!」

↑これじゃやってること、ぼくみたいな個人投資家の思い付き投資法と変わらんくないか?

これがぼくが抱いた違和感です。

ダウ平均は、本当に米国経済を映しているのか?

米国経済を映さなければいけないダウ平均が、米国経済を(なるべく)正しく映し続けるための銘柄入れ替えであれば、ぼくも納得したところです。ああそうなのね、と。

しかし、そうであるならば当然【AMZN】アマゾンや【GOOGL】アルファベット(グーグル)はすぐにでも入れなければならないでしょう。米国のみならず人類を代表する銘柄です。

それをせずに(ダウ平均がそれをできない事情も分かるけど)、ダウ平均を決める自分たちの都合の良い株価の範囲で、なおかつ今後とも調子の良さそうな銘柄をアレ入れてコレ入れて、なんてのはどうにも恣意的とぼくには見えました。

きっちりとしたロジックや条件ではなく、恣意的、思いつき、そんなふわっとした理由で個人投資家が個別株に手を出すと、ぼくも経験ありまくりですが、一定の確率で爆死します。

いや、それでもダウ平均はこれまで上げてきた。その実績がある。

実績があるのはわかりますが、実際銘柄を選定している人がプロ中のプロであることもわかりますが、でも投資の世界ではそのプロだって勝つことが容易でないこともぼくは知っています。

ダウ平均の銘柄選定が失敗することだってあり得ます。

ああ、そうか。失敗しても、その失敗銘柄を除外して新しいイケてる銘柄を入れればいいのか。

でも、そしたらダウ平均が米国経済を、いや、世界経済を代表する指標だとする根拠がどんどん薄くなっていってしまわないか?

朝のニュースで「為替と株の値動きです。今朝のNY市場、ダウ平均の値動きは……」といかにも米国株=ダウ平均として紹介される、その価値がダウ平均にあるのか?

この違和感、伝わるかなあ?

ダウ平均はどうやって銘柄を選んでいるの?

そもそも、ダウ平均ってどうやってどういう条件で採用銘柄を選んでいるのでしょうか?

ダウ平均は米国株を代表している、ダウ平均のようなインデックスに投資しておけば間違いない。

ぼくを含む多くの投資家さんが、実は何も考えずにインデックス投資を無邪気に信頼しており、銘柄選定のプロセスも知らないのが現状ではないのでしょうか?

だったらということで、調べてみました。

場所は、ダウ平均を決めているS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社の日本語版公式ページです。

まさに敵の本丸!

ここに株価指数としてのダウ平均の紹介ページもあります。

その中にダウ平均の銘柄選定に関する記述がありましたので、抜粋します。

銘柄選択は定量的なルールに従ったものではありませんが、採用銘柄は主として、企業の評判が高く、持続的な成長を達成し、多くの投資家が高い関心を示すものに限られます。各企業は米国で設立され、米国に本店を構えている必要があります。さらに、売上高の大部分は米国からもたらされている必要があります。ダウ・ジョーンズ工業株価平均™の銘柄選択については、指数内で適切なセクター配分を維持できることも考慮されています。

これらの指数の構成銘柄の変更は必要に応じて行われます。年間または半年ごとの指数の再構築は行いません。一方、コーポレート・アクションや市場動向に対応していつでも変更を行うことが可能です。構成銘柄の変更は通常、変更が行われる予定日の1~5日前に発表されます。

「銘柄選択は定量的なルールに従ったものではありません」

業績や時価総額などの「数字」を基準とした銘柄選択ではない。むむ!

「採用銘柄は主として、企業の評判が高く、持続的な成長を達成し、多くの投資家が高い関心を示すものに限られます」

採用される銘柄は、企業の評判が高い? 持続的な成長をしている? 多くの投資家が関心を示している?

曖昧ではないか!?

「指数の構成銘柄の変更は必要に応じて行われます。年間または半年ごとの指数の再構築は行いません」

構成銘柄の見直しは、定期的にではなく「好きなとき」に行われる。

……いや、めっちゃ恣意的じゃないですか。

要は、ダウ平均の中の人が気に入った銘柄は入れて、嫌いな銘柄は外す。

好き嫌い投資法。ぼくの個別株投資のやり方そのまんまですよ。

ダウ平均は、ぼくだった。

ダウ銘柄を決める指数委員会の怪

じゃあ、その恣意的なダウ平均はどんな奴らが決めているんだ? まさかAIではあるまい。

それも調べてみた。

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社の中に指数委員会という組織があり、どうやらそこが決めているようです。

また説明文があったので抜粋します。

ダウ・ジョーンズ工業株価平均、ダウ・ジョーンズ輸送株価平均、及びダウ・ジョーンズ公共株価平均は株価平均委員会が維持しています。この委員会は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの3名の代表者と、ウォール・ストリート・ジャーナルの2名の代表者から構成されています。

(中略)

各委員会は定期的に会合を開いています。各会合で、委員会は、指数構成銘柄に影響する可能性のある差し迫ったコーポレート・アクションや、指数構成銘柄と市場を比較する統計データ、指数への追加の候補となっている企業、その他の重大な市場イベントなどについて協議を行います。さらに、この委員会は企業の選択、配当の取り扱い、株数、またはその他の事項に関するルールをカバーしている指数方針を修正する場合があります。

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、指数の変更や、潜在的に市場に影響を及ぼす可能性のある重要な関連事項に関する情報を考慮します。したがって、指数委員会の協議内容は全て非公開となります。

簡単に要約すると、5人の指数委員が集まって話し合いで決める、その話し合いの内容は非公開だ、となります。

ダウ平均って、たった5人があーでもないこーでもないと話し合うことによって構成銘柄を決めていたんですね。

その事実に驚きました。

まさに世界の株式相場を動かす5人です。会合が非公開というのには納得です。この5人の正体も、ばれたら多分、殺されます。

S&P500の銘柄選定はフクザツだった

ダウ平均が、思いのほか大雑把であることはよくわかりました。

では他の株価指数はどうでしょう?

例えばダウ平均と同じS&Pダウ・ジョーンズ社が算出しているS&P500は、どのように構成銘柄を決めているのか。

S&P500は全米の大企業500社からなる株価指数で、ダウ平均と双璧をなす「世界指数」でもあります。S&P500わからんぞの人はこちらの記事を。

同じくS&P500の公式ページを見てみると、ダウ平均とは違ってここにはとても書ききれないほどの細かな条件があるようです。

特に構成銘柄の比重に関しては、何%以内とか何%以上とかすさまじくロジックが組まれており、読むのも嫌になるくらいです。

それもそのはずで、S&P500はダウ平均とは違って「平均株価」ではありません。

浮動株基準株価指数といって、難しい計算を伴う株価指数だからです。

ちなみに、ダウ平均のように「平均株価」と名乗る株価指数は、株価平均型株価指数と呼ばれます。日本の日経平均株価もそうです。

ナスダック100は、「忖度」のない株価指数

ETFの【QQQ】インベスコQQQ信託シリーズ1が連動する、ナスダック100指数はどうでしょう。IT・ハイテク株の強い株価指数です。

ナスダック、ナスダック100指数のわからんぞ記事です。

ナスダック100指数の銘柄選定基準は、たった5人が話し合いで決めるダウ平均や、複雑怪奇なプロセスのS&P500よりも実は単純で明確です。

その基準とは、ナスダックに上場する銘柄の時価総額上位100社、ただし金融銘柄を除く、だけです。

これはかなり簡単で素人にもわかりやすい。

ナスダックに上場している企業を時価総額の大きい順に100社はめ込むだけ。ただし、金融銘柄は除外する。

時価総額って何だ? という人はこの記事ね。

このナスダック100の銘柄選定基準はかなりロジカルで、ダウ平均のように銘柄の選定に「忖度」が入り込む余地がまったくありません。

ということはつまり、ナスダック100は人為的に無理矢理にでも株価を上げさせられた株価指数ではないということです。

だからナスダック100は、いくら下がろうが誰もお手当てしてくれません。

実はナスダック100は、ITバブル真っ盛りの2001年に当時の最高値4800ポイントをマークしましたが、その後バブルがはじけて暴落。一時800ポイントを下回るまで下げています。

その後、徐々に回復していき、2015年になってようやく2001年の最高値に並んでいます。

14年間もの間、ナスダック100には成長がなかったわけです。2001年の最高値でナスダック100に投資した人は、14年間もの間含み損です。

ダウ平均は、ほんの5年ほどでITバブル崩壊を乗り越えています。

人為的な介入があるかないか。良い悪いということを言いたいのではなく、違うということを言いたいのです。

ETFの【VTI】バンガード・トータル・ストック・マーケットや【VT】バンガード・トータル・ワールド・ストックについても構成銘柄の選定基準等を調べようとしましたが、いかんせん言語の壁が厚すぎました。

時代に取り残されたダウ平均。すでに正確ではない株価指数

さて、今回はぼくのほんの違和感から、ダウ平均の銘柄選定方法まで調べてみました。

結果は、ダウ平均も結構いい加減なものだな、と思いました。

現在ぼくが買い進めている7つのETF。

  • 【VOO】バンガードS&P500ETF
  • 【IVV】iシェアーズ・コアS&P500ETF
  • 【SPY】SPDR S&P500ETF
  • 【VTI】バンガード・トータル・ストック・マーケット
  • 【VT】バンガード・トータル・ワールド・ストック
  • 【DIA】SPDRダウ工業株平均ETF
  • 【QQQ】インベスコQQQ信託シリーズ1

この7つのETFのうち、ダウ平均のように採用銘柄を少人数の話し合いで決めているのは、恐らくダウ平均連動のDIAだけです。

ダウ平均のみが構成銘柄数が30銘柄と特別に少なく、他の株価指数は最低でも100銘柄~数千銘柄。

指数の算出方法も、ダウ平均のみが株価平均型株価指数で一部の構成銘柄の株価上昇が強く影響する方法で、その他は浮動株基準株価指数と、より複雑な計算方法で指数の正確さを目指している。

何かダウ平均だけが、なんとも恣意的で、それでいて算出方法も古臭い、時代遅れかつ正確に株式市場の現状を表現できていない株価指数に感じてしまいます。

やっぱりたったの30銘柄で経済全体を見渡すなんて無理だって。昔より社会は複雑になってんだし。

しかし、歴史あるダウ平均が構成銘柄数を増やしたり、算出方法を現代の基本ルールに改めることはないんでしょうね、きっと。

それがダウだから。

結局、株価指数だってヒトが作ったものでしかない

他の株価指数がダウ平均よりもより正確に客観的に市場の今を映しているようにも見えます。

ですが、混ぜっ返すようですが、ダウ以外の指数であっても、S&P500でもナスダック100でも、所詮、銘柄選定のルールは特定の人間が作った恣意的なものでしかありません。

結局、どの銘柄を入れて外そうが、株式相場の今はこんな感じだ! というのを完全に正確に表すことなんて不可能なんです。

100銘柄でも1000銘柄でもそうです。

つまり、株価指数だから、インデックス投資だから、絶対に正確だとか、公平だとか、客観性があるとか、そんなことはないんです。

絶対は、絶対ないんです。

これは良いとか悪いとかいう話ではありません。

インデックス投資をする人は、こういうことを知っておかなければいけない、という話なのです。

汝、株価指数を妄信するなかれ、です。

所詮はヒトの作ったもの。

とはいえ、インデックス投資に替わる投資法がない現実

でも、実際インデックス投資は、投資としてはベストだと思います。実際ダウ平均だって長期的に見れば上がり続けているのだし。

ただベストというのは言い過ぎか、ベターかな。

インデックス投資に替わる投資法がない、という現実がありますから。

だからぼくはこれからも、株価指数に投資していきますよ。ダウ平均も含みますよ。

ただし、株価指数を過信はしない。

誰かの掌の上で遊ばされている可能性もある。意識のどこかでそう思いながら、これからもコツコツ凡人らしくやっていきたいと思います。

オザワークスでした。

"share"とは株式を意味する英単語でもある

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ABOUT US
オザワークス
なまえ:オザワークス 生まれ:1980年 投資は2013年から開始。長野県在住。 投資初心者、またははじめてアメリカ株に興味を持たれた方向けに「米国株の長期配当投資」を紹介しています。 自分自身も米国株投資家でして、配当金を再投資して株を買い続け、不労所得のさらなる増大を目指します。 また、分散投資を重視し、毎日配当金が入金するようなポートフォリオを作っていきます。 外国株CFDでも米国株に投資し、CFDを舞台に長期配当投資へ挑戦しています。 証券会社選びから税金関係まで、初心者向けの米国株情報ブログを目指します。