投資用語解説:相対取引とは?

オザワークスです。

取引の種別も様々ありますが、今回は相対取引(アイタイトリヒキ)を解説します。

相対取引とは?

相対取引(アイタイトリヒキ)とは、取引所などを介さずに売り手と買い手が1対1(相対)で売買をする取引方法のことです。

というのが、言葉としての意味ですが、これはちょっとわかりにくい。

逆に、相対取引じゃない取引を見たほうが、相対取引の正体が浮かび上がってきてわかりやすいですね。

相対取引じゃない代表例は、オークション

相対取引ではない取引の例として、オークションが挙げられます。

オークションは、ネット上のものも含めて、売り手と買い手がオークション会場へ行き、そこで複数人でいわゆる「せり」を行って値段を決め、それで取引になります。

ここで重要なのは2点。オークションはオークション会場で行われる、ということと、取引が複数人で行われる、この2つです。

オークションは、オークション会場という開かれた場所で行われます。そこでどのようなルールでオークションが行われるのかは、オークションの主催者が決めます。売りたい人、買いたい人が決めることではありません。

ルールに基づいて、オークションは複数人で行われます。もし、オークションの参加者が1人だけだったら、それはもはやオークションではなく、ただの買い物ですね。売り手も買い手も複数人が値段を言い合って、最終的に落札価格を決めるのがオークションの醍醐味です。

株式市場って、オークション?

ここまで読んで、あれ? なんかオークションて株取引に似てない? と思われた方、正解です。証券取引所で日々行われる株の取引は、はっきり言ってオークションみたいなものです。

自分も含めた複数人が価格形成に参加しているので、売りたい値段で売れなかったり、買いたい値段で買えなかったりする。

そしてその取引の場を取り仕切り、不正がないかを見ているのは、証券取引所です。複数人の参加者が、取引所の定めたルールの通りに作り上げたものが、株価です。だからこそ、証券取引所の提供する株価は正しいはずで、実際正しいです。

こんな感じで、オークションと証券取引所での取引は似ていますね。

相対取引は、オークションの逆? 車屋さんで車を売る場合

話を相対取引に戻すと、相対取引はオークションや取引所での株取引の逆です。売る人と買う人が面と向かって、いくらいくら、とやり取りするのが相対取引です。

自家用車を車屋さんに持っていって売る場合を考えてみましょう。

売る側は、このくらいで売れるはず、という予想があります。買う側も、ここまでなら出せる、という予算があります。そこで1対1(相対)で交渉して、値段が決まります。第3者、第4者の割り込みがあると、それは相対取引ではなくなります。

相対取引は密室で行われます。価格交渉を見張る者も、ルールもない。ですから極端な話、刃物をチラつかせてより高い買取価格を勝ち取ることもオッケーです(もちろん法律的にアウト)。

実際は、売り手買い手それぞれの知識や経験が、価格に影響を及ぼします。売り手は、思ったよりも高く売れた、と思っていても買い手側は、しめしめバカを言いくるめて安く買えたわ、と思っているかもしれません。

それぞれ持っている知識も経験も違う多数の人が取引に参加していないため、決定された価格は閉鎖的で恣意的です。泣いても笑っても、その価格は取引した2人だけのもの、ということです。

これが、相対取引です。

世の中のほぼすべての取引は、実は相対取引

投資の世界で取引所以外で行われる取引は、ほぼすべて相対取引です。つまり、現物の普通の株取引以外はほとんどすべて、ということになります。

ほとんどすべてのFX業者、銀行の外貨預金、通貨の取引はほぼ相対取引です。CFDなどの差金決済系の取引もほとんどは相対取引。GMOクリック証券の外国株CFDもそうです。

通常の投資信託や債権の類も相対です。珍しいのがPayPay証券で、ここは現物の株取引を相対取引で可能にしています。唯一無二と言ってもいいでしょう。

投資以外に目を向けると、相対取引じゃないのは市場等でのせりやオークション、競争入札ぐらいで、あらゆる取引のほとんどは相対取引となっています。

本屋で本を買うのもそう、医者にかかるのもそう、自販機でお茶を買うのも相対取引。実は、普通に生活するレベルだと相対取引しかしていないんですね、ワタクシたちは。

相対取引と店頭取引の違い

相対取引に関連するウェブページを見ていると、よく「相対取引(店頭取引)」という表記を目にします。相対取引と店頭取引は同じものなのでしょうか。

結論から言いますと、まあ同じようなもんです。

言葉として、相対取引は1対1で取引をすることに重きを置き、店頭取引は取引が行われている場所を重く見ている感じでしょうか。店頭、つまりは店先で取引を行う。証券取引所じゃなくてね。

証券取引を店先で行う、というのは考えるとシュールな絵ですが、あくまで論理的な言語的な意味合いです。取引所でなければ、そこは店先なんです。

PayPay証券なんかは、投資家が一歩お店に入ると、商品である米国株が商品棚に並んで値札がついています。まさに店先です。

その商品はPayPay証券の店主が前もって仕入れたもので、今付いている値札(株価)は店主がお店の利益も考えて自分で決めたものです。普通のお店と一緒。

投資家は気に入った銘柄を商品棚から手に取り、レジへと向かいます。レジで店主と株取引を行います。相対取引ですね。

相対取引(店頭取引)であるPayPay証券のイメージはこんな感じです。

相対取引の注意点。ウソの株価で売ることも?

上のPayPay証券のイメージにもありますが、相対取引(店頭取引)の場合、多くは売り手(商品やサービスを提供する側)が価格を決めます。普通のお店はそうですよね。

投資の世界の相対取引もその通りで、FXの業者や銀行や証券会社は、勝手に1ドル=◯◯円と為替レートを決めています。彼らがそれぞれで決めているんです。普通のお店と一緒です。

GMOクリック証券のCFDやPayPay証券の米国株の株価も、それぞれの証券会社が決めた値段です。もちろん相対取引ですから、自由に決めていいのです。

一方で、証券取引所で決まった株価は、誰か特定の人が決めたものではありません。取引所の株価は絶対であり、特定の人が操作できるものではありません。

つまり何が言いたいのかというと、CFDやPayPay証券の株価は、取引所の価格そのものではない、ということです。

もっと踏み込んで言えば、嘘をつける、ということです。それも、いくらでもです。いくらでも店主が商品の値段を書き換えていいのと同じです。

もちろん法外の値段をつけても商品が売れずに店は潰れます。だから、「普通」は市場価格と店頭価格は、近似値です。ですから、必要以上に心配警戒することもないでしょう。

ただ、相対取引では価格の決まり方に根本的な違いがある、ということは頭の片隅に常に置いておいてください。

まとめ。相対取引はとても身近な取引方法だった

まとめです。

一言でいえば、取引所以外での取引はみーんな相対取引である。

相対取引と言うとなにか難しそうな感じを覚えますが、多くの人がほとんど毎日行っていることが、まさに相対取引だったのでした。逆に取引所での取引のほうが特殊と言ってもいい。

相対取引と店頭取引は、ほとんど一緒。

最後の相対取引での価格決定プロセスの違いは、ぜひとも覚えておいてください。それで何がどうなるってものでもないですが、仕組み上の大きな違いですので。

こんな感じで相対取引の説明を終わります。オザワークスでした。

"share"とは株式を意味する英単語でもある

コメントを残す

ABOUT US
オザワークス
なまえ:オザワークス 生まれ:1980年 投資は2013年から開始。長野県在住。 投資初心者、またははじめてアメリカ株に興味を持たれた方向けに「米国株の長期配当投資」を紹介しています。 自分自身も米国株投資家でして、配当金を再投資して株を買い続け、不労所得のさらなる増大を目指します。 また、分散投資を重視し、毎日配当金が入金するようなポートフォリオを作っていきます。 外国株CFDでも米国株に投資し、CFDを舞台に長期配当投資へ挑戦しています。 証券会社選びから税金関係まで、初心者向けの米国株情報ブログを目指します。