サクソバンク証券で米国株、欧州株に投資ができる。使い勝手はどうか?

オザワークスです。

以前、CFD系の記事でも紹介した、サクソバンク証券という外資系の証券会社が、CFDではなく現物株でも米国株と欧州株の取扱を始めたそうなので、少額投資家目線で紹介します。

外資系CFDの雄が現物株でも名乗りを上げた。黒船襲来である

サクソバンク証券は、デンマークはコペンハーゲンを本拠地にする証券会社です。日本ではFXとCFDで特に有名だそうです。だそうです、というのはぼく自身がFXとかはあまりやらないので詳しくないのです。

んで、そのFXとCFDの会社が、今度日本で現物株の取り扱いも始めたというわけです。黒船襲来ですね。

取り扱うのは、米国株と欧州株と中国株です。まず中国株はポイして、米国株と欧州株について見ていきましょう。

な、なんと、サクソバンク証券の外国株は特定口座に対応していない!

と、その前に、サクソバンク証券の外国株現物は特定口座に未対応です。取扱銘柄数とか取引手数料とかの以前にここでまず大減点です。特定口座無しはいただけない。

ご存じない方のためにちょいと説明すると、特定口座とは、投資で発生する税金の計算や支払いを証券会社が自動的に行なってくれる便利な制度のことです。面倒くさい確定申告なども絡んでくるので、あるのとないのじゃ大違い。

特定口座の詳しい説明はコチラ。

まあ将来的には対応になる可能性はあるとはいえ、スタートの段階でこれはいかにも味が悪い。

もう一つ難点。取引はすべて日本円建て

サクソバンク証券の現時点でのもう一つ残念な点として、外貨で投資できないことを挙げておきたいです。

取引はすべて日本円建てで、しかし投資先は外国株。為替手数料が0.2%掛かります。1ドル=100円のときに20銭という計算ですから、為替手数料自体は高くも安くもないんですが、問題は為替取引の回数。

SBI証券、マネックス証券、楽天証券は外貨で取引できます。外国株を買うときに日本円を外貨に替える。これで為替取引が1回。そこで買った株を売ると、代金は外貨のまま口座に戻ってきます。その外貨でまた、株を買う。これの繰り返し。

ところがサクソバンク証券は取引がすべて日本円建てですから、外国株を買う際に為替取引が1回はいいとしても、それを売った場合にも外貨を円貨に戻して為替取引2回目。戻ってきた円貨で再び外国株を買えばそこで3回目。

つまり、何か取引をするたびに0.2%の為替手数料を徴収され続けてしまうのです。行ったり来たりするたびにちょっとずつ削られるカツオ節のようですね。

さらに、受け取る配当金も、外貨ではなく円貨です。もちろん為替手数料0.2%を使ってわざわざサクソバンク証券が日本円に替えてくれています。なんともありがたい話です。

それと比べればSBI証券とかは、外貨のまま配当が入金する。実にけしからんことです。

ウソウソ、もちろん外貨のままのほうが良いよ。

でも、外貨で投資できるようになったらなったでまた問題も……

外国株を円貨で取引するのはどうも、根本的なところで何かがズレている印象があります。が、しかし、じゃあ外貨で取引できればそれでいいかというと、またちょっと違うかもしれません。

というのも、米国株を米ドルで買って米ドルで保有する。これは良いです。米ドルは世界の基軸通貨。米ドル資産を持つことに異を唱える人は、おそらくほとんどいないでしょう。

イギリス株。かつての大英帝国イギリスの通貨は、ポンドです。これもまあ、悪くはないでしょう。

問題というか、ちょっと身構えてしまうのが、ユーロという通貨です。フランス株とドイツ株のモノホンはユーロ建てです。ユーロ建ての資産を持つ。個人的には、うーん、ユーロかあ……という感じです。

この新しい通貨であるユーロは、というかEUという枠組みそのものの問題が昨今表面化しつつあり、それがヨーロッパ全体を苦しめていると感じます。弱小国の債務問題、あるいは移民の問題もそうです。

様々な問題はEUがEUであるからこそ発生している面があり、だからこそイギリスのように脱退する国も出てきます。簡単に言うと、EUは構造的な問題を抱えており、崩壊する可能性があります。

そのときはユーロも、消滅します。

もちろんそうならない可能性もあるわけですが、それはわかりません。米ドルや英ポンドに対して、相対的にユーロの将来には不安を覚えます。

それがぼくが、外貨建てならそれでOK、とは簡単にいかないと思う理由です。

取扱銘柄数。米国株6000銘柄以上!

証券会社を紹介する記事のパターンですけど、とりあえず取扱銘柄の数を見てみましょう。

まず米国株は個別株が4500銘柄以上、ETFその他が1500銘柄以上取引可能だそうです。合わせて6000銘柄強! マネックス証券が約3000銘柄ですから、マネックスを凌ぐ「なんでもある状態」ですね。

米国株を取扱う証券会社の銘柄数比較

証券会社 個別株 ETFその他
サクソバンク証券 4500銘柄 1500銘柄
マネックス証券 3000銘柄 300銘柄
SBI証券 1100銘柄 400銘柄
楽天証券 1100銘柄 400銘柄
DMM.com証券 131銘柄 20銘柄
ワンタップバイ 29銘柄 3銘柄
GMOクリック証券(CFD) 59銘柄 38銘柄

サクソバンク証券が圧倒的ですね。

でもね、株式投資は米国株に限らず大企業(ないし大ETF)のみでOKだとぼくは思うので、中小を含む4500銘柄も必要かと聞かれれば、要りませんと答えます。約1000銘柄のSBI証券や楽天証券で十分事足りるので、4500は過剰です。多けりゃいいってもんじゃない。

さらに、6000もの銘柄をきちんと検索スクリーニングできるのか疑問です。海外系の証券会社って、そういうところ異常に使いにくかったりするイメージ。で、実際使えたもんじゃなかったりする。

多けりゃいいってもんでもないですが、取扱銘柄数を絞り込みすぎるのもどうかと思います。ワンタップバイその他の証券会社は、もう少しがんばるように。

ところで、「ETFその他」の「その他」ってなんでしょう? ADRのことかな?

ネット証券で珍しい、欧州株3000銘柄以上に投資できる!

サクソバンク証券は、米国株以外にも欧州株の現物にも投資できます。ヨーロッパの会社の株ですね。

これは日本のネット証券ではかなり珍しくて、ぼくがサクソバンク証券の一番の特徴と思う点はこの欧州株です。

取扱銘柄数は、欧州個別株が1800銘柄以上、ETFその他が1900銘柄以上と、米国株に引き続いてとにかく銘柄数はめちゃくちゃに多い。

問題はその内訳です。欧州株と言っても対象となる国は、イギリス、ドイツ、フランスの3カ国です。ロンドン、パリ、フランクフルトの証券取引所に上場する銘柄を取引できるわけですね。

欧州株取扱数国別まとめ

個別株 ETF
イギリス 673銘柄 209銘柄
ドイツ 544銘柄 2銘柄
フランス 537銘柄 251銘柄

ドイツのETFだけ異常に少ないことが判明! ドイツ人はETFを知らないのだろうか?

銘柄数としては、どの国も結構な数がありますね。皆さん、ヨーロッパの会社、パッと出て来ますか?

イギリスだったら、ADRとして米国株としても取引できるロイヤル・ダッチ・シェルやBP、グラクソスミスクラインにブリティッシュアメリカンタバコ……あれれ、もうみんな持ってるやつだ。

気を取り直してADR銘柄のないドイツはどうでしょう。メルセデス・ベンツにBMW、フォルクスワーゲンなどやはりドイツは自動車が強いですね。

アウディやポルシェは単独で上場しているのかな? それともフォルクスワーゲンだけかな? すいませんけどちょっとそこまでは追えませんでした。だって、銘柄の検索性が悪すぎるんですもの。500銘柄をアルファベット表記で一覧表にされても、見にくいだけ。

一方フランスは、ルノーにプジョー・シトロエンとコチラも自動車はやはり存在感がある。他には、石油のトタルにタイヤのミシュラン、エアバスにエールフランス、ルイ・ヴィトンなどのファッション関係と色々ありそうですね。

いや、ありそうというだけで実際に「見つけて」はいないんですが……。

ま、とにかく、ヨーロッパ(特にADRのないドイツ&フランス銘柄)に直接投資できるというのが、サクソバンク証券の最大の強みです。ぼくはそう思います。

サクソバンク証券の米国株取引手数料に、安さは感じない

次に取引手数料について。米国株の取引手数料は取引代金の0.2%です。SBI証券その他の証券会社で米国株を取引する場合は約0.5%の設定になっているので、おおこれは安い!

と思うのは早とちり。悪しき文化である「最低手数料」が、サクソバンク証券にも存在します。その額は、横並びの5ドル。同じやんけ。

まあ、上限手数料は15ドルと安いけど(ほかは20ドル)、少額投資家は1回の取引額が少ない傾向だから、上限手数料が多少安くてもって感じ。安さが実感しにくいなあ。

取引手数料比較(日本円換算)

売買代金の
何%?
最低手数料 上限手数料
サクソバンク証券 0.2% 5ドル
(550円)
15ドル
(1600円)
SBI証券
マネックス証券
楽天証券
DMM.com証券
0.5% 5ドル
(550円)
20ドル
(2200円)
ワンタップバイ 0.5% なし なし
GMOクリック証券 なし なし なし

次に、売買代金の増加による取引手数料の変化です。

売買代金 サクソバンク証券 SBI証券
マネックス証券
楽天証券
DMM.com証券
ワンタップバイ
100ドル
(1万1000円)
5ドル
(550円)
最低手数料
5ドル
(550円)
最低手数料
55円
1000ドル
(11万円)
5ドル
(550円)
最低手数料
5ドル
(550円)
最低手数料
550円
2000ドル
(22万円)
5ドル
(550円)
最低手数料
10ドル
(1100円)
1100円
2500ドル
(27万円)
5ドル
(550円)
最低手数料
12ドル
(1300円)
1300円
3000ドル
(33万円)
6ドル
(660円)
15ドル
(1600円)
1600円
4000ドル
(44万円)
8ドル
(880円)
20ドル
(2200円)
上限手数料
2200円
5000ドル
(55万円)
10ドル
(1100円)
20ドル
(2200円)
上限手数料
2700円
7500ドル
(82万円)
15ドル
(1600円)
上限手数料
20ドル
(2200円)
上限手数料
4100円
1万ドル
(110万円)
15ドル
(1600円)
上限手数料
20ドル
(2200円)
上限手数料
5500円

1回の取引金額が~10万円までは、最低手数料がないワンタップバイの取引手数料が安いです。11万円で各社の手数料は一旦横並びになります。ここでSBI他の4証券は最低手数料時代に別れを告げて、ワンタップバイとともに手数料が上昇し始めます。

一方、サクソバンク証券の最低手数料は取引金額が27万円になるくらいまで続きます。サクソバンクはここからようやく手数料が増え始めるのですね。

その後、取引金額が44万円ほどになるとSBI他の4証券は上限手数料に達して、そこから先は一定です。

約82万円でサクソバンク証券も上限手数料に到達。取引額が100万円になったとき、一番手数料が高いのは、上限のないワンタップバイという結果になりました。

問題は最低手数料の存在。5ドルの壁が破られた瞬間、手数料戦争が勃発する

こうして細かく見ていくと、サクソバンク証券がSBIそのほか4証券よりも取引手数料で優位に立っているのはわかります。わかりますが、それは取引手数料の全体を見ての話です。

1回あたりの取引額が数十万円などというのは、少額投資家からすれば関係ない話です。せいぜい数万円の少額取引の範囲であれば、手数料的にはワンタップバイということになります。

兎にも角にも問題は、「最低手数料」なる概念です。少額投資家にはコイツがいつもいつも立ちはだかります。

しかも、最低手数料はどこの証券会社でも5ドル(約550円)です。何故か5ドルです。

この部分がどうにか変わらない限り、この証券会社はガチで手数料が安い! とは思えないでしょう。逆を言えば、この最低手数料5ドルの壁をどこかの証券会社がブチ破った瞬間、地獄の釜が開き、泥沼の米国株手数料戦争へと突入していくのかもしれません。

なるほど、証券会社からしてみれば自らイモを引くようなことはしたくないわけですね。まさに地獄が待ってます。

欧州株の手数料、最低手数料がアホほど高い!

さて、欧州株の取引手数料はどんな感じでしょうか。ぼくはむしろ米国株よりもコチラに注目しています。

サクソバンク証券の欧州株の手数料一覧

売買代金の何%? 最低手数料 上限手数料
イギリス株
(ロンドン
上場銘柄)
0.1% 8ポンド
(1168円)
なし
フランス株
(パリ上場銘柄)
0.1% 12ユーロ
(1524円)
なし
ドイツ株
(フランクフルト
上場銘柄)
0.1% 12ユーロ
(1524円)
なし

手数料0.1%? おお、安いじゃ~ん、と思ったのもつかの間、やっぱり最低手数料です。8ポンドや12ユーロと言われてもピンとこないので、適当にレートを調べて計算すると、イギリス株は1168円、フランスとドイツは1524円が最低手数料として乗っかります。

高いです。これが最低なのに、高いです。投資資金が潤沢にあれば気にすることでもないんでしょうけど、このレベルで手数料を求められると現実的にはちょっと使えません。

サクソバンクの欧州株、海外投資に新たな視点を、と期待していただけに残念です。

まとめ。特定口座対応が急務。欧州株の手数料ももうちょっとなんとかしろ

サクソバンク証券のまとめです。

まず、なんといっても特定口座にすら対応させていないのでは、どうしようもありません。これは急務でしょう。

米国株投資周りは、まあ、普通のレベルかな? 取扱銘柄数が6000銘柄と言われても数があればいいというわけでもないし、取引手数料が安いといっても最低手数料5ドルは変わらないし。もうちょい踏み込んでほしかったですね。

欧州株は期待していただけに、実用に耐えられない手数料の高さにはがっかりしました。少額投資家は来るな、ということですね。

ぼくレベルの投資家だとちょっと魅力が足りませんが、気になった方はサクソバンク証券の公式サイトはコチラです。

オザワークスでした。

"share"とは株式を意味する英単語でもある

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ABOUT US
オザワークス
なまえ:オザワークス 生まれ:1980年 投資は2013年から開始。長野県在住。 投資初心者、またははじめてアメリカ株に興味を持たれた方向けに「米国株の長期配当投資」を紹介しています。 自分自身も米国株投資家でして、配当金を再投資して株を買い続け、不労所得のさらなる増大を目指します。 また、分散投資を重視し、毎日配当金が入金するようなポートフォリオを作っていきます。 外国株CFDでも米国株に投資し、CFDを舞台に長期配当投資へ挑戦しています。 証券会社選びから税金関係まで、初心者向けの米国株情報ブログを目指します。