オザワークスです。
配当大好きな米国株投資家の皆さんこんにちわ。
突然ですが、あなたが頬ずりしているその配当金、実は受け取るたびに損しているってご存じですか?
資産を増やすために投資をしているなら配当を出す株はベストな選択ではない理由を、何を隠そう配当大大大好きなぼくがお話しします。
もくじ
配当は税金で損
配当金を受け取るたびに損をしているとはどういうことか?
これはですね、配当金というものの仕組みにそもそも原因があります。
あなたは株主です。つまり、あなたは企業のオーナー、企業はあなたの持ち物です。ということは、企業の持っている現金もあなたのものということになります。
あなたのものである企業の金庫から、あなたの財布へお金を移す。これが配当金です。
つまり、配当金とはあなたの右のポケットから左のポケットへお金を移すだけのことなのです。
でもこれだとプラスでもマイナスでもない。お金は減りません。
ところが、右のポケットから左のポケットへお金を移す際に税金を取られてしまうのです。
自分のポケットの間をお金が移動するだけなのに税金を確実に持って行かれる。なので、配当金は受け取るたびに損をしているのです。
配当は株価も下がって損
もう一つ別の角度から、株価という概念を交えて考えてみましょう。
配当金は、企業から株主へ現金を支払う行為です。配当金を支払うと企業全体の価値が、支払った配当の分だけ目減りします。
逆に配当金を受け取った株主は、配当金の分だけ持っているお金が増えます。この持っているお金が増えて見えるので錯覚してしまうんですね。
さて、株価というものは、その企業の価値そのものです。企業が発行した株式のすべてを足し算するとその企業全体の価値、すなわち時価総額となります。
先に述べたように、配当金を支払うと企業全体の価値が支払った配当の分だけ目減りします。その上で株価が企業価値を表すものであるならば、あとは簡単。
配当金を支払った企業の株価は、支払った配当の分だけ値下がりします。だって、企業の価値が下がっているのですから。
配当金を受け取ると株主のお金は増えます。が、同じ分株価も下がります。そこにはプラスもマイナスもありません。
そして、ここでも税金です。企業が支払った配当金と株主が受け取れる配当金は、イコールではありません。税金を引かれています。つまり結局はマイナスです。
まとめると、配当金を受け取るたびに株主は手持ちのお金は増えますが、実は損をしています。
けど配当払っても株価が上がるの何で?
はい、以上が、配当をもらうと実は損をしているの理屈です。
これには反論があろうかと思います。毎年配当金を支払って、それどころか毎年支払う配当金を増やしているのに株価も上がっている企業もあるぞ、と。
確かにあります。というか、上に書いたことはかなり理屈で、原理的なことです。
実際の株価は必ずしも企業の価値を正しく映しているとは言い難く、ときに気まぐれに、ときに不条理な動きをします。
なので、配当金を支払っても偶然株価も上がっている企業だっていっぱいあるのです。しかし、そんな偶然もさすがに何十年も続きはしません。
長期で見れば株価は正しい数値に収束するそうです。そんな中で株価が上昇する企業に共通するキーワードがあり、それは「成長」です。
企業が成長すると株価も上がる
企業は、ビジネスをしてお金を儲けるために存在しています。そして、去年よりも今年、今年よりも来年の儲けを増やそうと日夜務めています。
何故なら、企業の儲けがどんどん増えていけば、従業員の給料が増えたり、企業の価値が膨らんで株価も上がったりと「いいこと」が起こるからです。
ビジネスをやっていくにはお金が要ります。軍資金です。新しい工場を建てたり、優秀な人材を雇ったりするにはお金が必要になります。
お金を儲けるために、まずお金を使うんですね。これを何と言うか知っていますか?
「投資」と言います。
企業は前の年の儲けの一部を新たに投資することによって、もっともっと儲けを増やしていくのです。これが企業の「成長」です。
企業が成長すると企業全体の価値も上がるわけですから、株価も上がりやすくなります。
配当金も企業の成長のために使えば
しかしここで悩ましい問題が一つあります。
配当金をどうするかです。
企業は儲けの一部を新たに投資してビジネスを成長させます。そして、同じく儲けの一部を配当金として株主に支払ってもいます。
これって実は、一方で株価が上がる投資という行動を取りつつ、もう一方では配当金という株価が下がる行動をしてもいます。配当金を受け取ると株主的には嬉しいのですが……。
企業のほうは、本音ではこう思っているんじゃないでしょうか?
(株主に支払っている配当金もビジネスへの投資に回せれば、もっと儲けて見せるんだけどなあ?)
一方の株主の中にもそのことに気が付いてこう主張する人が出てきました。
「配当金なんてどうせ税金取られるだけ無駄だ。会社を成長させるため、株価を上げるために儲けたお金はすべて使ってくれ」
儲けの一部を株主に配当金という形で渡すのではなく、もしくは配当金を支払うにしてもほんの少しに抑えつつ、企業の成長のために全力を注ぐ。
配当金を支払いつつ株価も上げている企業は、きっとその辺のバランス取りが上手なのでしょうね。
成長と配当金は相性が悪い
米国株にも色々な企業がありますが、もしあなたが最速で資産額を増加させたいのであれば、配当を出す企業を選択するのはベストではありません。
理由は、もうわかるかと思います。税金と株価の両面で不利な配当金が、企業の成長の足を引っ張るからです。
現に、ドシドシ成長してやるぞ! という若くてイケイケな企業ほど配当金を支払わない傾向にあります。【AMZN】アマゾンや【FB】フェイスブック、グーグルを擁する【GOOGL】アルファベットなどですね。
どれもギラついた眼をした企業たちです。
じゃあ必ず成長するかと言えばそうでもない
さて、では最速で儲けたければ上に挙げたような無配企業に投資すれば良いのでしょうか?
理屈の上では、◯です。しかし、理屈は理屈です。
アマゾンもフェイスブックも無限に成長できるわけではありません。もうこの辺が限界かも知れないし、そもそも配当金すら成長のために回したとして、それで必ず株価が上がる保証はどこにもありません。
一生懸命投資したビジネスが失敗すれば、損する可能性も十分あります。例えば、フェイスブックがやろうとしている仮想通貨の「リブラ」とかね。
つまり、結局どの株が上がるかなんてわからない。もしそんなものがあれば、ぼくが一番教えてほしいくらいです。
色々あって配当は不利だと悟った次第
今回何でこんな話をしたのかというと、ちょっと別の記事を書こうとして「株式分割」と「株式配当」について調べたり考えたりしたのですが、そこでどこからどう見ても配当って損してるよな、と自分自身納得せざるを得なかったのが原因です。
株式分割は、持っている株が分割されて、株数が増えて反対に株価は下がるコーポレートアクションの一種です。
この二つ、実は企業が新たに株を発行して株主に渡すという点で本質的に同じものです。持っている株がある日増える、と。
企業全体の価値が変わらないのに発行する株式の数が増えるのだから、1株の値段つまり株価が薄まるのも一緒。
違うのは、株式「分割」では税金は取られないが、株式「配当」ではきっちり税金を抜かれるということ。
やっていることは同じなのに!
しかし待てよ、と。株式分割や株式配当が企業から株式をもらって、その結果企業価値が下がって株価も下がるんだったら、配当金はどうなる?
配当金は企業から株主へ現金が動く。その結果企業価値が下がって株価も下がる。
同じだあ~!
と打ちのめされて、この記事を書きました。
……まあ、7月にも1回打ちのめされているんですけどね。今回忘れていたのでもう一発食らう結果となりました。
配当金は尊い。けれどその配当金の真実は知っておくべし
ぼくは配当金が大好きな投資家です。配当金の好きさで言ったら、恐らくこの日本で五本の指に入るくらいのレベルだと思います。
そのぼくでも、配当金は受け取るたびに損をしていることは理解できています。
ぼくと同じように配当金が好きで、しかしこれまで「配当金の真実」にまで意識が届かなかった投資家さんは、これを機会に是非とも配当金の損について覚えておいてください。
ついでに、株価は理屈や理論の通りに100%動くわけではないこと、それから、配当金を出さないからと言って企業が必ず成長するわけでないことも重要です。叩き込んどいてください。
さて、配当金が損をすることは無事(?)わかったとして、これからの投資をどうするかですが、ぼくは配当金のない投資は考えられないので基本的には変えません。
え? 話違くない?
と思われるかもしれませんが、話は違くないです。
あくまで、資産の増加を最速で求めていくなら配当金の絡む投資は不利だよ、というだけで、まったく成果が出ないわけではありません。
配当金を集めてまた株を買ってまた配当金をもらって……という投資が、無配の成長株一本鎗と比べて資産額の伸びが鈍い傾向にある、というだけです。
配当目当ての投資でも資産は増えますし、お金持ちにもなれます。
投資をしない人と比べたら全然違います。
では何故ぼくは、わざわざ効率の悪い配当狙いの投資をするのか?
それは長くなりそうなので、また今度で。
一言でいえば、「投資を続けることができるかどうか」ですね。投資は継続が100%。
オザワークスでした。
コメントを残す