オザワークスです。
ぼくは米国株投資家を自称しています。でも、純粋な米国株ではないものにも多少投資しています。看板に嘘偽りありです。
中身が債券でできている債券ETFというものがありまして、どういう経緯がその債券ETFも何種類か保有しています。
その中の一つ、【TLT】iシェアーズ米国国債20年超というETFが、このところグングン株価を伸ばしているのでネタにします。
本来債券というものは、株のようにその価値が上昇したり下落したりしにくいものですが、TLTは上がっている。不思議なこともあるもので。
もくじ
【TLT】iシェアーズ米国国債20年超が20%以上の上昇
【TLT】iシェアーズ米国国債20年超が上がっています。
TLTの1年チャート
TLTはETFなので、債券にもかかわらず株価が存在する。まずそこからしてややこしい。
2018年末の115ドルを底として、2019年に入ってからじりじりと上げていき、7月中頃にポーンと跳ねて現在は145ドルを超えている状態です。
ぼくはTLTを121ドルで購入しているので、20%ほどの含み益があります。
債券ETFは数あれど、上がっているのはTLTだけ
でもこんな債券ETFで含み益が乗っているのは、変です。変というか、ぼく自身初めてです。
TLT以外にも債券ETFをいくつも保有していますが、株価が上昇しているのはTLTだけです。
その他の、
- 【EMB】iシェアーズJ.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券
- 【HYG】iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債
- 【JNK】SPDRブルームバーグ・バークレイズ・ハイ・イールド債券
- 【AGG】iシェアーズ・コア米国総合債券市場
- 【BIV】バンガード・米国中期債券
- 【BND】バンガード・米国トータル債券市場
- 【IGIB】iシェアーズ米ドル中期社債
- 【LQD】iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債
- 【VCIT】バンガード・米国中期社債
たちは、ほとんど株価は動きません。そして本来債券というものは、そういうもののはずです。
債券とはそもそもなんだっけ?
債券とは、金貸しです。投資先にお金を出すところまでは株式と一緒ですが、出したお金を期限付きで返してもらう約束になっているのが株式との違いです。
返してもらうので、債券投資には始まりと終わりがあります。
100円を貸したら、いつの日か100円を返してもらう。返してもらうまで定期的に利金(株でいう配当金みたいなもの)をもらう、そういう投資です。
100円を貸したら、返ってくるのは必ず100円です。株のように投資した100円が1000円になったり1万円になったりはしないものです。
反面、株のように100円が10円になったり……ということも起こりにくいです。
であるので、債券価格は、債券ETFは、そんなに上がったり下がったりしないもののはずなのですが。
TLT上昇の秘密は米国債にあり
でも、【TLT】iシェアーズ米国国債20年超は年初来20%超も上昇しています。
コイツとその他の債券ETFで何か違うところでもあるのでしょうか。
あります。
実は、TLTはその名前の通り、ほぼ100%米国債に投資するETFです。TLT以外は、ドル建てではあるものの社債やらジャンク債やらの混ぜ物です。
TLTのみが純粋米国債ETF。天下の米国財務省発行の米国長期国債様です。
では何故、債券一般ではなく、米国債のETFのみが投資家に買い求められる、つまりは株価が上がるのでしょうか?
米国債は世界一安全な債券
答え。世界中の投資家が、これから不景気になると思っているからです。
これから不景気になって米国株のみならず世界中の株が下がりそうだから、今のうちに株を売って米国債に替えておくのです。
ただの債券じゃダメで米国債なのは、来たる不景気がヘビーな不景気だと踏んでいるからでしょう。
米国債は、世界で最も安全な債券です。日本国債どころじゃありません。だって世界経済の中心である米国が財政破綻したら、そのまま人類の終わりですからね。
米国債は無茶苦茶な堅さを誇ります。金といい勝負です。
金と金鉱株投資について書いた記事です。
米国の金利と米国債の関係
もう一度TLTのチャートを見てみましょう。
2018年12月を底として、TLTはじんわり上っていくことになります。
2018年12月というと、世界中の株式相場がめっちゃ下がっていたときです。この下げの原因は、米国の利上げです。
米国の利上げに対して、「まだ上げんのかよ、ふざけんな!」と言って投資家は株を売りました。
ただ、面白いのは、この2018年末の株価下落ではまだ米国債は急上昇しない点です。
投資家は確かに2018年末に株を売りはしましたが、まだそのお金が米国債に向かわないのです。この時点では。
そして半年ほどの時が流れて2019年7月、米国は今度は利下げを行いました。
そしたらまた株価がガタつきだします。それで今度は米国債がガクンと上がるのです。
米国債が買われると不況入りが近い?
2018年末の株価下落と2019年7月の株価下落、同じようでその意味するところは異なるのではないでしょうか。
2018年末の利上げに伴う下落は、これ以上利上げされるといよいよ実体経済に重い影響が出始めるかも、でも利上げしやがった! パウエルのヤロー! でいったん株を売っておく。
でも年が明けても思いのほか経済は悪くなりはしなかった。あれ、もしかしてこのままいけるかも、で買い戻しが入り、最高値を更新したりもした。
それでも2019年7月いよいよ利下げに転じると、利下げは景気を上げようというシグナルですから、ああやっぱりもうダメなんだ、と悲観してまた株が売られました。
これでどんどん利下げして景気のテコ入れをすればまだいいのですが、利下げは続けない、などとまたわけわからんことを言うので、パウエルのヤロー、仕事しろ! となるのです。
2019年7月のここで米国債の価格が上がる意味は、2018年末の「危機」ではまだあった余裕が2019年7月には失われていることです。
投資家は未来に対してより悲観的になっており、株を売るだけでなく米国債に替えています。ガチで資産を守りに行っているのです。
このことから、いよいよ不況入りが近づいている、と見えます。
上がったTLTをどうすべきか
いよいよ不況が近いわけですが、ぼくはというと、TLTがもっと上昇したらどうしようかな、なんてことを考えています。
自分の投資ルールでは、現在1株145ドルのTLTが160ドルまで上がったら半分売却する、となっています。
売るのはいい。問題は売った後です。
そこで得たお金をどうするのか。
これから株が下がりそうな気配がビンビン漂っているわけですから、とりあえず取っておくのも良いでしょう。
ですが、ぼくは米国株を買いますね。NISA枠でS&P500のETFですよ。
こんなところで3割4割下がったところで、どこで買っても長期的に見れば大した違いはありません。
まるで世の中の逆を行く考え方ですが、ぼくはいつだって株を買います。
参考にしちゃ、ダメですよ。
オザワークスでした。
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