わざと損して税金を取り戻そう! 配当狙いの投資における損出しのやり方

オザワークスです。

皆さん日々配当もらってますか? 実は配当金を受け取るたびに毎回税金を支払っていることをご存知でしょうか? そして支払った税金を取り戻す方法があることを。

今回は、配当金の税金と一度払った税金を取り返す「損出し」について解説します。

配当金の税金。米国株の配当は、約30%が税金として失われる

株を保有していると定期的に入金してくる配当金。実は、配当金は入金するたびに毎回毎回税金を当局に持っていかれます。

ぼくは米国株に主に投資しているので米国株を例に出すと、企業が株主に支払う配当金のうち、10%が現地の米国で外国源泉徴収税(略して外国税)としてまず徴収され、次に日本国内でも約20%の国内源泉徴収税(略して国内税)が引き算されます。

合わせて約30%。米国株から100ドルの配当が出たとしても、大体30ドルは税金としてそれぞれの政府に持っていかれてしまうわけですね。普段何気なく配当金をもらっていますけど、こうやって文字にすると30%ってなかなか多いですね。

外国税は国によって違う。米国は10%、英国はなんと0%!

外国税は、外国企業の国籍によって税率が異なります。米国籍の企業&ETFであれば10%。これがカナダ国籍だと25%もしくは15%、スペインだと19%、国によってまちまちです。

外国税の税率が0%の国もあります。英国です。英国籍の企業は外国税が発生しないので、そのことが銘柄選びにも影響を与えたりしますね。

NISA口座で非課税化できるのは、国内税だけ。外国税は普通に取られる

NISA(少額投資非課税制度)というものがありますが、あれは国内税の約20%が非課税になる制度です。外国税は普通に徴収されています。

しかし、もしも英国籍の銘柄をNISA口座で保有した場合、英国の外国税は0%ですから、その配当金には国内外の税金がすべて免除、ということになります。英国株は捗りますね。

外国税額控除で支払った外国税を取り返すことも可能

確定申告時に申請できる外国税額控除という制度があります。これを利用すると、支払った外国税を還付させることができます。ただ、その手続は投資家が自ら行わなければなりません。特定口座で放ったらかしだと、外国税は取られたまんまです。

NISA口座では、この外国税額控除が行なえません。外国税額控除は、外国税と国内税の2重課税解消を目的としたものなので、国内税が課税されないNISAでは2重課税にならないから、という理由です。なんかケチだと思います。

ちなみに、NISA口座では後述する「損出し」もする意味がありません。

ずっと配当をもらい続けるということは、ずっと税金を取られる続けるということ

以上が、配当金の税金について簡単な説明です。ここから本編に入りましょう。

特定口座で株を保有していると、そこでもらう配当金には毎回約20%の税金がかかってきます。これは外国株でも日本株でも同じです。年間100万円くらい配当をもらっても、そのうちの20万円くらいは税金なわけです。

配当狙いの投資は、株をずっと保有してずっと配当金をもらい続ける投資です。ということは、ずっと20%の税金を取られ続ける、ということでもあります。

黙っていると20%も引かれてしまう。これ結構面白くないですよね。なんとかできないかな? これが「損出し」をする動機です。

どうして配当金に税金が発生するの?

まず、どうして配当金に税金が発生するのか考えてみましょう。

基本的に税金は、利益に対して発生します。プラスだと生まれるものなんですね。会社で給料をもらって所得税が発生するのは、それがあなたの収入(プラス)になっているからです。

もし働くほど給料がマイナスになっていく会社があるとするならば……いえ、考えるのはやめておきましょう。

投資においてもこれは変わりません。株を売って儲けたときはもちろんプラス。配当金をもらったときも、それはプラスとなります。マイナスの配当金というものはありません。

このように、少しでも儲かればそこには税金が発生してしまう、という仕組みがあるわけです。

利益に課税される。だったら損すればいいじゃないか、という発想

利益に対して税金が発生する。そして、配当金は利益だ。少なくとも役人どもはそう見ている。

だったら、損して利益を消しちゃえばいいじゃないか!

これが「損出し」の発想です。

もらった配当金の分だけ、わざと損を作って、利益なんてないですよ、という顔をする。そういう作戦です。

値下がりした株を売れば、簡単に損を作れる

これは誰でも知っていることですが、株式投資で損をするのは、至極簡単です。値下がりしている銘柄を売れば良いのです。

どの投資家も1つや2つあるでしょう。どうしようもなく含み損を抱えた銘柄が。そいつらを売れば、簡単に損は作れます。

ポートフォリオの掃除にもなって、こりゃあ一石二鳥だ。

配当狙いの投資では、1月から損出ししていける

では、実際にやってみましょう。通常の損出しではなく、特に長期で配当狙いの投資をする投資家のための損出しです。ぶっちゃけ、ぼくのやり方です。

まず、長期配当投資なので、基本的に保有銘柄は利益確定のために売りません。まあ、あとで気が変わって売ることもあるかもしれませんけど、とりあえずは売却益はないものとしましょう。

すると、投資における利益の源は、配当金のみとなります。そうなると、1年間にもらう配当金がイコール、1年間の利益の額ということになります。

売却益と違って、年間の配当額はかなりの確度で予想の立てられるものです。これによって、年が明けると同時に、その年に予想される配当額と同額の損失を作ることが可能となります。

配当投資家は、1月から損出しがやりやすいです。利益である配当金を損失で先に埋めてしまうことで、税金を取り返します。

配当投資の損出しは、売った銘柄をまた買い戻す

通常の損出しであれば、損を出すために売った銘柄は、売ったらそこでサヨナラです。しかし、ことは配当投資です。配当のためならばいくらでも血を流す。

損出しで売った銘柄は、すぐに買い戻します。何故なら、手放したままだとその銘柄からは配当がもらえなくなるからです。

いいですか。その銘柄が憎くて売るわけじゃないんです。ただ一時、損を作るために瞬間手放すだけです。また買い戻して配当ロードに戻ります。

損出しした銘柄を買い戻すメリットとデメリット

この配当投資独特の損出し戦略には、メリットとデメリットがあります。

まずメリットとしては、安く買い直すので株の取得単価が下がります。投資家の心理的には、マイナスだった青い数字が消えてコイツこれから上がるかも、と気分が多少良くなります。気分だけ。

あと、配当がもらえます。

配当がもらえます。

重要なことなので2回言いました。

次にデメリットとしては、同銘柄を売って買うので、取引手数料がかさみます。これが結構痛いので、配当額より大きい損は必要ないし、なるべく含み損の大きい銘柄で損出しして、取引の回数を抑えるべきです。

更にデメリットとして、当たり前ですが損失を確定してしまっている事が挙げられます。そのまま売らずに持っていればいつかは上がるかもしれないものを、あえて今売ったのです。その結果損をした。そのことは心に刻んでおきましょう。

それでも、ただ損をしたわけではありません。配当額と刺し違えることによって、税金分は取り返しているのです。これも考え方です。

メリット・デメリット両方見ましたけど、長期で配当金をもらい続けるのであれば、いずれメリットがデメリットを上回ります。これは結構真面目にそう思っています。

損出しする銘柄の選び方。含み損の大きいやつから売れ!

いくつか銘柄を持っている投資家は、中でも含み損の大きい順に損出しをしましょう。というのも、株を売るわけですから、当然取引手数料がかかるわけです。あまり小さな額の損をちょこちょこ出しても、それでは手数料がもったいないとなります。

損の大きいやつから選んで売りましょう。もし、ちょびちょび損の銘柄しかないとか、すべての保有銘柄がプラスである、というような羨ましい投資家さんは、損出し無用です。おとなしく税金を払ってください。

損出しというものは、当たり前ですが損がなければできないのです。

それでも1年間で相場にはいろいろ起こります。プラスだったものがマイナスに転じたら、そのときは笑顔で損出しすれば良いのです。

損出しする銘柄の選び方。配当の権利日が近い銘柄は避けよ!

配当投資です。配当のための損出しです。損出しをするために本来もらえたはずの配当金を取りこぼすなど、あってはならないことです。

なので損出しで売り買いする銘柄は、配当をもらえる権利が決まる頃のものは避け、できるだけ配当とは関係ない銘柄で損出ししましょう。

配当がもらえる権利の流れは、「権利付き最終日」⇒翌日「権利落ち日」⇒翌々日「権利確定日」の順で流れていきます。

このうち重要なのは、「権利付き最終日」だけです。意味は、「この日までに株を買っておけば、配当をもらえる権利を得られる」です。ここだけが重要。

「権利落ち日」は、この日に株を買っても「すでに配当をもらえる権利はない(落ちている)」からしょんぼりデー。ある意味一番配当から遠い日。

勘違いしやすいのが「権利確定日」で、何やら字面からこの日に買えば配当の権利がゲットできそうですが、それは大間違い。

株というものは、買っても株主として登録されるまで3日を要します。なので「権利確定日」の3日前の「権利付き最終日」が、「本当に配当の権利を得られる日」なのです。

で、損出しはどうしても一度株を売りますから、そのあとすぐ買い直すとしても、短い時間とはいえ株主ではなくなる一瞬が生まれます。その一瞬がもし権利付き最終日だったりしたら、そりゃあ、あなた、もう目も当てられません。

確実に配当をもらいたいなら、配当の権利関係が全然関係ない銘柄、全然関係ないタイミングで損出ししましょう。配当の権利関係を調べるには、各銘柄の公式サイトや、Dividen.comなどの配当情報サイトが便利です。

作る損失額は、年間の見込み配当額と同じで十分

配当投資家の損出しは、1年間で受け取るであろう配当の額分で十分です。過剰に損出ししても、取引手数料を余分に払うだけで特に意味はありません。

目的はあくまで、配当額(利益額)に同額の損失をぶつけて税金を帳消しにする、ことです。それをお忘れなきよう。

まあ、確定申告で大きすぎる損失は次年度へ繰り延べできますけど、それはまた別のお話。

追記。損出しする額は、1年間で受け取るであろう配当額で十分、と上にありますが、配当受け取りのたびに支払っていた税金込の額にしましょう。手取りの配当額と同じでは損出し不足です。

感覚的には、手取りの配当額の1.3倍くらいの損を作っておくといい感じの損出しになる気がします。

損出しの方法には2種類ある

実は、配当投資型損出しの具体的な手法には、2種類あります。株を売った次の日に買い直す「翌日型」と、株を売ったその日に買い戻す「即日型」の2つです。

この2つの手法は、それぞれ一長一短があります。順に見ていきましょう。

ちなみに、株を売る(損を出す)行動そのものには、何ら違いはありません。その後に配当のために株を買い戻す部分で、やり方が分かれます。

損出しの手法1 売った株を翌日に買い戻す場合

まず比較的わかりやすいこちらから行きましょう。売った株をその次の日に買い戻す場合です。この場合は、ある株を損出しのために売り、その翌取引日に同数買い直します。

すると、当たり前ですけど損失が発生して、取得株価はリセット。保有する株数は変わらず、以後配当をコツコツもらっていく。

この翌日型の手法のメリットは、1回全部売って翌日全部買い直すことによって、確実に狙った通りに損出しできることです。確実に損出しできるのがメリット。

損出しの手法の説明なのに、損出しできることがメリットなんて、なんか変な言い方ですけど、それには理由があります。次の手法2で説明します。

デメリットとしては、一度売って日をまたぐので、どうしても「空白の1日」が発生してしまう点です。そこが権利付き最終日だったりしたらもう最悪。配当を1回分取り逃しです。

さらに、空白の1日が発生するので、その間に株価の大幅な上昇があったりした場合、なんか損したような気分と(実際わざわざ損しているけど)、こちらの資金量によっては、売る前と同数の株を買い戻せなくなるリスクがあります。

リスクとしては同数を買い戻せないほうが甚大であり、もしそうなってしまったら、自分のバカさにぼくはしばらく立ち直れないと思います。

こんなに「株価テメエ今上がるんじゃねえぞぉ!」と願う瞬間もそうないと思います。

損出しの手法2 売った株をその日のうちに買い戻す場合

次は、売った株を即日買い直す場合です。この場合は、ある株を損出しのために売ったら、その夜のうちに(米国株ですから)買い直します。

いえ、言い方が正確ではないですね。その夜のうちにではなく、売ったら本当にすぐ即時に同数買い戻します。

株を売っているわけですから、損失は発生します。買い戻すので保有数は損出し前と変わらず。以後、配当をもらい続けるのも手法1と同じです。

この手法のメリットは、自分が株を売ったあとの株価の変化に怯えずに済む点です。何せ売った直後すぐに買い戻すので、いくらボラティリティ(株価の変動)が高い日でも、買値が売値とほぼ変わりません。

確実に売った株数と同数を買い戻せるのが、この手法のメリットです。

ただ、デメリットもあります。この手法で損出しをすると、損出し対象銘柄を全数売って買い戻しても、含み損の半分程度しか「損をした」と証券会社に認められません。つまり、損出しの効率で劣ります。

説明します。

証券会社の計算方法で損失額が半分になる

ことは、証券会社の平均取得価格の計算方法に因ります。

例え話を出しましょう。ある株を4000円で10株買って、それが3000円に値下がりしたところで全部売って(損出し)、その日のうちにに3000円でまた10株買い戻したとしましょう。

損失額は1000円、だと思いますよね?

それが違うんです。これが買い戻したのが翌日であれば1000円でOKなんですが、その日に買い戻したことによって違う結果となります。

答え、損失額は半分の500円です。

どういうことかというと、まず4000円で買った株を持っていますよね。それを、3000円で売って、3000円で買っているのに、証券会社はそのように計算してくれません。

株の平均取得価格というものは、実は取引時間が終わるタイミングで毎日計算されています。そのとき、同一銘柄で同一日に複数回の取引があった場合、証券会社は「買い」の取引を優先して計算します。

つまり、4000円の株を3000円で売って3000円で買っているのに、証券会社的には、4000円で買った株を10株持っている状態で3000円で同じ株をもう10株買い足し、そのあとで3000円で10株売っている、と認識しています。

なので証券会社的には、4000円の株10株に3000円の株10株を足して、平均価格が3500円で20株。そこから3000円で10株売るから、損失額は500円となるのです。

最終的な今の状態は、3000円で10株持っていることは変わらないのに、そこへ至る過程が違うんです。でも買いの取引を優先して計算すると、確かにこうなります。

参照情報、マネックス証券のQ&Aページ「保有している株式の平均取得単価とは何ですか?

同じく参照、楽天証券のよくあるご質問ページ「特定口座内で、同一銘柄を日計りした場合の取得価格の計算はどうなりますか?

ちなみにSBI証券では、親切に教えてくれるページはなかったぜ……。

損出しは、できるだけ売った翌日に買い戻す方法を取りたい

いやはや、これだけで1つ立派な記事が書けそうだ。

話を損出しの手法に戻すと。株を売ったその日に買い戻すやり方は、損出しの効率で劣り、それが取引回数の増加を招き、つまるところ取引手数料の増大へと投資家に跳ね返ってきます。

なので、損出しのやり方としては、なるべく売った翌日に買い戻す方法を採用したいです。

ただし、空白の1日による株価の変動で思うように株を買い戻せない、という事態が発生する可能性もでてくるため、できるだけ現金(買付余力)を手厚くした上で損出しイベントに臨みたいものですね。

損出しのその後。税金はこうして還ってくる

さて、損出しは済ませました。その後配当金も期待通りにもらいました。税金はどうなるのでしょう?

売却益とは違って、配当金に係る税金は損出しをしようがしまいが、配当金の入金のたびに計算され、特定口座によってきっちり納税されています。

損出しの意味が出てくるのは、年末もしくは年明けすぐです。1年間の配当入金がすべて完了し、すべての利益を合算。利益と損失額と比較し、徴収しすぎた税金があれば、まとめて還付されます。

損出しさえしっかりやっておけば、投資家が特に何かする必要はありません。特定口座がすべて自動でやってくれます。そして、それぞれの証券口座に還付金が振り込まれるのです。

投資家にとってはお年玉ですね。これでまた株を買いたいものです。

というわけで、損出しの流れを細かく書いてみました。ぼくは損出しをしておいたおかげで、10万円ほど還付金がありました。ね、バカにできないでしょ?

含み損があるなら機能的に損出しして税金くらいは取り戻さないと、本当に損しちゃいますよ。

オザワークスでした。

"share"とは株式を意味する英単語でもある

コメントを残す

ABOUT US
オザワークス
なまえ:オザワークス 生まれ:1980年 投資は2013年から開始。長野県在住。 投資初心者、またははじめてアメリカ株に興味を持たれた方向けに「米国株の長期配当投資」を紹介しています。 自分自身も米国株投資家でして、配当金を再投資して株を買い続け、不労所得のさらなる増大を目指します。 また、分散投資を重視し、毎日配当金が入金するようなポートフォリオを作っていきます。 外国株CFDでも米国株に投資し、CFDを舞台に長期配当投資へ挑戦しています。 証券会社選びから税金関係まで、初心者向けの米国株情報ブログを目指します。