オザワークスです。
1000円から米国株に投資できるPayPay証券から新しいサービスがリリースされたので取り上げます。
その名も「つみたてロボ貯蓄」。
つみたてロボ貯蓄公式サイト
つみたてロボ貯蓄ってどんな感じ?
もくじ
つみたてロボ貯蓄は、ありふれた定額積立サービス
つみたてロボ貯蓄は、投資家が指定した米国株を指定した金額分自動的に積み立ててくれるサービスです。
「ロボ」と付いているので、何やらAIを活用したおまかせ投資的なイメージが湧きますが、そんな最先端な技術の話ではないですね。ただの、定額自動積立サービスです。
積み立てる銘柄と金額は、投資家が指定します。原始的です。
SBI証券が提供している、「米国株式・ETF定期買付サービス」と仕組みはほとんど同じです。
つみたてロボ貯蓄にはコースが2つある
つみたてロボ貯蓄にはまずコースが2つあります。「高分配・高配当コース」と「積み株コース」です。
このうち、積み株コースの方は従来からあるサービスで、ワンタップバイ取り扱いの米国個別株38銘柄を、最低1000円という少額から毎月買い付けていけるという内容です。
今回「つみたてロボ貯蓄」と言って新サービスを打ち出したのは、もう一方の「高分配・高配当コース」のほうですね。
高分配・高配当コースは、積み株コースとは取扱銘柄や積立金額などがまったく違うので、まずはそこに注意が必要です。
高分配・高配当コース専用取扱銘柄
高分配・高配当コースで積み立てられる銘柄は、以下の専用7銘柄となっています。
高分配・高配当コース専用銘柄一覧
属性 | ティッカー | 銘柄 | 配当頻度 | 年利 |
BDC | ARCC | エイリスキャピタル | 四半期 | 8.70% |
BDC | MAIN | メインストリート | 毎月 | 7.27% |
ETF | PFF | 優先株式&インカム証券 | 毎月 | 5.91% |
ETF | EMB | ドル建て新興国債券 | 毎月 | 5.63% |
ETF | HYG | ドル建てハイイールド社債 | 毎月 | 5.27% |
ETF | USIG | ドル建て投資適格社債 | 毎月 | 3.44% |
ETF | TLT | 米国国債20年超 | 毎月 | 2.63% |
まず、この7銘柄は、高分配・高配当コースでのみ投資できる専用の銘柄です。ワンタップバイの他のサービス、個々に株を買ったりとかは、できません。
理由はわかりませんが、なんかそういうことになっています。なので単純にワンタップバイの取り扱いETFが増えた、というような話ではないのですね。
BDCとはなにか?
取扱銘柄についてはもう少し説明が必要ですね。もう一度表を見てください。
属性 | ティッカー | 銘柄 | 配当頻度 | 年利 |
BDC | ARCC | エイリスキャピタル | 四半期 | 8.70% |
BDC | MAIN | メインストリート | 毎月 | 7.27% |
ETF | PFF | 優先株式&インカム証券 | 毎月 | 5.91% |
ETF | EMB | ドル建て新興国債券 | 毎月 | 5.63% |
ETF | HYG | ドル建てハイイールド社債 | 毎月 | 5.27% |
ETF | USIG | ドル建て投資適格社債 | 毎月 | 3.44% |
ETF | TLT | 米国国債20年超 | 毎月 | 2.63% |
高分配・高配当コースでのみ取り扱われる銘柄は、すべてETFないしBDCと呼ばれる銘柄です。
ETFは上場投資信託のことで、これはさすがにもう説明は必要ないと思います。5つのETFはすべて安心と信頼の「!シェアーズ」ブランドのETFです。
銘柄を最初に見てズッコケたのですが、5つのETFのうち既に4つにぼくは投資してしまっています。
もう一つのBDCというものはなかなか馴染みのないものなので、ここで補足しておきます。
BDCとは、「Business Development Companies」の略で、未上場の中堅企業や新興企業等に対して資金供給、つまりは投資をするための法人だそうです。
一言でいえば投資法人、投資会社。100%投資をするためだけの会社です。
そう言うとなんか特殊な会社のようですが、ARCCやMAINはワンタップバイ以外の証券会社では、米国個別株のひとつとして取引ができます。
BDCとか聞き慣れない言葉を使っていますが、要するにただの個別株です。
ぼくも今回のことで初めてBDCなんていう言葉を知りました。いやあ、ワンタップバイのサイトは見ているだけで勉強になりますなあ。
ジョーク? 「配当利回り」を「年利」と言い換えてる
もう一点だけ。あと1回だけガマンして同じ表を見てネ。
属性 | ティッカー | 銘柄 | 配当頻度 | 年利 |
BDC | ARCC | エイリスキャピタル | 四半期 | 8.70% |
BDC | MAIN | メインストリート | 毎月 | 7.27% |
ETF | PFF | 優先株式&インカム証券 | 毎月 | 5.91% |
ETF | EMB | ドル建て新興国債券 | 毎月 | 5.63% |
ETF | HYG | ドル建てハイイールド社債 | 毎月 | 5.27% |
ETF | USIG | ドル建て投資適格社債 | 毎月 | 3.44% |
ETF | TLT | 米国国債20年超 | 毎月 | 2.63% |
表を見て「年利」という言葉があり、年利? 配当利回りの間違いでは? と思われた方がいらっしゃると思います。
ぼくもそう思います。ですが、ワンタップバイの取扱銘柄を紹介するページには、「年利」「年利」「年利」としっかり書いてあります。
年利と聞くと、ぼくは預貯金の利率みたいなものをイメージします。そしてそれはすごく元本が保証された安全な世界という印象です。
ですが、このつみたてロボ貯蓄は言うまでもなく投資であり、元本が目減りするリスクがあります。銀行預金とは違うのです。
年利ではなく配当利回り。言葉は正しく使いましょう。
高分配・高配当コースの最低積立金額は3万円
高分配・高配当コースは、つみたての最低金額が3万円と積み株コースの1000円の30倍もハードルが上がっています。
ここは残念ですね。少額から投資を始められるのがワンタップバイの大きなメリットだったのに、大きく後退していると言わざるを得ません。
ちなみに取引手数料ですが、毎月の買い付けのたびに取引代金の0.5%が株価に乗っかる形で徴収されています。
つみたてロボ貯蓄だからといって、取引手数料の割引等はありません。
積立資産額シミュレーターで遊ぼう!
つみたてロボ貯蓄の説明ページには、ロボ貯蓄シミュレーターというものがあり、積立金額を入れると資産額と受け取り配当額が将来どうなるのかシミュレートできます。
このシミュレーターが非常に良くできていて、何をいくら何年積み立てても投資した元本は一切減らず、減配も一切起こらず、ただただ資産が積み上がっていくプログラムになっています。
初めてみたとき、苦笑してしまいました。こういう遊び心もワンタップバイですよね。
せっかくなのでシミュレートしてみました。一番配当利回りの高い、いえ、年利の高い(8.7%)ARCCを毎月99万円分99年間積み立ててみた結果がこちらです。
え~と、99年間で12億円近く投資して、配当金を50億円ほどもらったようですね。こりゃあいいや。こうありたいものです。
このおもしろシミュレーターでたまに遊んであげましょう。
つみたてロボ貯蓄は、投資未経験のお年寄りがターゲットだった
このつみたてロボ貯蓄というサービスはどうも、端々に言葉の使い方に気になる部分があります。
例えば、先程出たように本来「配当利回り」と表記すべきものを「年利」と言い表したり、大体「つみたてロボ貯蓄」という名前自体、ロボでもなければ、貯蓄ともまた違う。
ぼくは毎月米国株を買っていますが、それを「貯蓄」とはまったく思いません。「投資」です。
どうも言葉があちこちおかしい。
そのもやもやは、つみたてロボ貯蓄の「活用術」というページでスッと理解できました。
「シニア世代」「老後」「年金」……つまるところ、年寄りを狙っているわけですね。それも、これまで投資なんてしたことのないズブズブのド素人を。
だから、「年利」や「貯蓄」など「貯金」や「預金」と勘違いするような言葉で言い換えてみたり、スマホの購入の段階から面倒を見たりするわけね。
……はあ、まあご商売ですからねえ。バカがバカを見るのも世の常ですし。否定するつもりはありません。
ただ、気分はよくねえなあ。
サービスとして悪くない。ただ、PayPay証券の姿勢はさもしい
今回のつみたてロボ貯蓄という新サービスをぼくが利用する予定はありません。それは、大したサービスじゃないとぼくが思うからです。
しかし、サービス自体がそれほど悪いものとは思いません。高配当のETF等を積み立てたいという需要は一定数あると思うし、それには応えているサービスです。
ただ、どうして利用者を、利用者になりうる人を勘違いさせるような、間違わせるような露出を行うのか。
別にサービス自体は悪くないのだからそのまま、こういうことを始めました、と表に出せば良いことでしょうに。
それができないワンタップバイは、サービスそのものに自信がないのかなんだか知りませんが、さもしいですね。
PFFに1000円から投資できるんだったら褒めてあげるのに
少しであれ投資の経験があれば、つみたてロボ貯蓄には、おいおい、と間違いなく思うでしょう。ツッコミどころ満載です。
ぼくとしてはそんなものよりも、高分配・高配当コース専用になっている7銘柄に普通に投資できるようにしてもらいたいですね。それだけでいいんです。
高配当、安定配当のPFFに1000円から投資できる。それこそがワンタップバイの最大の売りでしょうに。
どうも自分の一番の長所に鈍感なんだよなあ。
CFDとかIPOとか、どうにもワンタップバイがチグハグです。
オザワークスでした。
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