オザワークスです。
お手軽に米国株に投資できる証券会社PayPay証券。操作も簡単で便利ですね。投資の初心者でもPayPay証券ならわかりやすい。
しかし、あえて言いたい。
簡単シンプルなPayPay証券だけでなく、ガチもんのネット証券も使ってほしい、と。
いやね、PayPay証券は簡単シンプルにするために、普通の証券会社には普通にある機能やサービスをかなりそぎ落として作られている印象です。
そちらを知っている側からすると、PayPay証券しか知らないのは、ちともったいない気がしてならないのです。
投資初心者さんは、PayPay証券で慣れたら是非とも他の証券会社も使ってみてくださいな。
もくじ
PayPay証券はシンプルだけど機能が足りてない
PayPay証券は「スマホ証券」を名乗るだけあって、絞り込まれた機能やサービスはとても分かりやすくてシンプルです。
利用者の7割が投資初心者であると自ら言うだけのことはあります。
ただ、機能がシンプルであることも、言い換えればいろいろ物足りない点があるとも言えます。特に、株式投資の経験者はそう感じるところではないでしょうか。ぼくは感じました。
PayPay証券を使っていると、ああ、あの機能もないのか、と結構歯がゆい思いをします。
と、同時にPayPay証券しか知らない投資家は、もっといろいろ便利な機能が各ネット証券から提供されていることを知らないわけで、それも「もったいないな」と感じてしまいます。
スマホ証券ではない、古参のネット証券もいいものです。
そこで、まずはPayPay証券とその他の米国株投資ができるネット証券3社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)の機能やサービスの比較をしてみます。
PayPay証券、2つの超強力な個性
まずは、スマホ証券のPayPay証券。
と、その前に、米国株投資をする上で必須の条件があります。それが、米国株投資が特定口座に対応しているかどうか、ということです。
特定口座とは、投資をする上で投資家の負担になるであろう税金の計算や税の支払いまで全自動で済ませてくれるとても便利なサービスです。
特定口座の解説記事です。
さて、PayPay証券の特徴からですね。
PayPay証券の提供する米国株投資の特徴は、以下の2点が際立っています。
- 24時間365日米国株取引ができる。
- 株数ではなく、金額単位で株取引をする。最低1000円から。1株未満の投資ができる。
この2点は、恐らく他のどの証券会社でも実現していないサービスです。特に「株数ではなく金額単位での取引」はPayPay証券の強烈な個性です。
以下に少し詳しく解説します。
PayPay証券は眠らない
PayPay証券では、24時間365日米国株を取引きできます。これは、PayPay証券だけです。
PayPay証券以外の証券会社では、マネックス証券などのわずかな例外を除いて、米国の株式市場が開いている時間帯でのみ株の取引ができます。
具体的には、日本時間で22:30~翌朝5:00まで。ただし、米国には夏時間と冬時間があって、11月の上旬~3月の上旬までの冬季は、23:30~翌朝6:00までが取引時間となります。
それが、PayPay証券ならそんなものは全部無視して、24時間年中無休でいつでも取引し放題です。
ただしですね、米国市場の取引時間外にPayPay証券で取引すると、取引手数料(スプレッド)が通常の0.5%から0.7%へと値上がりしてしまうので、そこは要注意です。
24時間年中無休取引サービスは、個性的ではありますが、あまり有益なサービスではないと個人的には思います。
PayPay証券最大の魅力、金額単位の取引
PayPay証券では、米国株の取引の際に株数ではなく、金額を単位として取引を行います。
例えば、1株30万円以上する【AMZN】アマゾンを1万5000円分買い付ける、などということが可能です。
他の証券会社では、こんなことはできません。1株が取引の最小単位です。
金額指定で米国株に投資できる。PayPay証券の魅力のほぼすべてがここに詰まっているとぼくは考えています。
何故なら、株価の高い銘柄にも劇的に投資がしやすくなるからです。
アマゾンは1株3000ドル以上する、比較的値の張る銘柄です。3000ドルは、日本円で大体30万円と少しです。
PayPay証券以外の証券会社では、アマゾンに投資するためにはまず30万円以上の現金が最低でも必要になります。最低でも1株という単位でしか取引ができないからです。
それが、PayPay証券では株数という単位を無視してアマゾンを最低1000円から買うことができます。
この1株未満の投資を可能としたことが、取引金額の小さい少額投資家にどれほど優しいか。
素晴らしい!
PayPay証券に足りていない7つのポイント
はい、以上の2点はPayPay証券の非常に個性的なサービスです。ポジティブな面ですね。
で、褒めておいてなんですが、ここから先は残念ながらPayPay証券には足らない点です。
PayPay証券では当たり前のようにできないことも、他の証券会社ではそれをはるかに上回るサービスを無料で提供してくれていたりします。
以下、他の証券会社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券)とPayPay証券を比べたときの不満の羅列です。
- 米国株投資を米ドル建てでできず、日本円建てでしかできない。
- 取扱銘柄が少ない。
- 取引時の注文方法が何もない。
- 回数無制限、手数料無料の即時入金サービスがない。
- NISA、つみたてNISAが使えない。
- 投資情報、銘柄情報が何もない。
- 取引手数料の概念が独特。
こんなところです。
以下で詳細を説明です。
米ドル建ての米国株投資ができない
PayPay証券では、米国株の取引をするのに日本円しか使えません。
他の3証券では、日本円の他に米ドルでも米国株投資ができます。どちらが優れているかといえば、米ドルでの米国株投資です。
米国株は米国の企業なわけですから、基本何でも米ドルです。日本円で取引しようとすれば、米ドルに換える必要があります。為替取引です。
そしてもちろん、為替取引には為替取引手数料が発生します。
日本人投資家がお給料としてもらった日本円で米国株に投資するので、どうしても為替取引が発生してしまうのは、PayPay証券も他の3証券も一緒。ただ、その回数が違います。
最初に米国株を買う段階で1回は為替取引が必要です。ただ、米ドルで投資しているとその後株を売っても代金は米ドルで口座に戻ってきます。
PayPay証券だと、株を売った代金を再び日本円に換えるために為替取引を行います。為替手数料を支払うことになります。
配当金をもらう場合も同じです。米ドルで投資していれば米ドルの配当金が口座に貯まっていき、その米ドルでまた株が買えます。
しかし、日本円でしか投資できないPayPay証券では、配当金が入るたびにそれを日本円に換えます。そのたびに余計な為替手数料を支払っていることになります。
さらに言うと、PayPay証券はその為替手数料でも1ドルあたり35銭と、他3証券に比べてお高くなっています。
3証券は基本が25銭で、SBI証券は住信SBIネット銀行を併用したテクニックで買い付けだけ4銭、マネックス証券はキャンペーン期間中は為替手数料が無料となっています。
取扱銘柄数が少ない。特にETFに課題
PayPay証券の米国株の取扱銘柄は、正直少ないです。個別株が全部で114銘柄、ETFが22銘柄です。
ETFとは上場投資信託のことです。詳しいことはこちらで。
個別株 | ETF | |
SBI証券 | 3690銘柄 | 306銘柄 |
マネックス証券 | 3695銘柄 | 311銘柄 |
楽天証券 | 3312銘柄 | 320銘柄 |
PayPay証券 | 114銘柄 | 22銘柄 |
こうして比べてみるとまさに桁違いですね。
PayPay証券の136銘柄も硬軟取り混ぜたバランスの取れたラインナップだとぼくは思いますが、さすがに絶対数が足りてないことは否めません。
取扱銘柄数は、そのまま選択肢の数です。多ければいいというものではありませんが、多いに越したことはないのです。
その意味でより他3証券との差が激しいのは、個別株ではなくETFの数です。投資初心者には個別株よりもまずはETFを勧めたいぼくとしては、22銘柄はいかにも寂しい。
ETFも良いものが沢山あります。ぜひPayPay証券には取り扱いETFを増やしてもらいたいですね。
PayPay証券には指値注文すらない
PayPay証券には、株取引の際の注文方法という概念がありません。
PayPay証券では24時間365日株取引ができますから、PayPay証券がそのとき提示した株価で取引するだけです。銘柄を選んで、あとは取引金額を入力するだけですね。
これは大変シンプルで簡単なのですが、他の証券会社を知っていると少々物足りない。というか、普通に不便です。
他の3証券では、取引に様々な条件を付けることによって、様々な便利な効果を投資家が得られるようになっています。代表的なものをここで紹介します。
まずは、指値注文(さしねちゅうもん)です。取引したい銘柄の株価を指定して注文を出します。
例えば、現在株価が1000ドルのA社の株に対して、950ドルまで値下がりしたら買い付けを行うように証券会社に対して指値注文を出しておきます。
その後、950ドルまで値下がりすると、投資家がそのとき相場を見ていなくても自動的に買い付けが行われます。
株を売る場合も同じように、1050ドルになったら売るように指値注文を出しておけば、あとは勝手に売ってくれます。
これがPayPay証券だと、株価が950ドルになるまで待って、買い付けの取引を自分でタップしなければいけません。それが嫌なら今すぐ1000ドルでどうぞ、となります。
PayPay証券では現在の株価でしか取引ができませんが、指値注文があると、現在の株価より安く株を買えたり、高く売れる可能性が得られます。取引により柔軟性が生まれます。
それに、一度取引の注文を出しておけば、その注文は最大で90日間も有効です。つまり、なかなかA社の株価が下がらなくても、一度注文を出しておけば投資家がいちいち起きて見ている必要はないのです。
米国株の取引はどうしても夜が中心になりますから、注文を出しておけばあとは見ている必要がないというのはとても便利です。
損切りに便利な逆指値注文
もう1つさらに便利な注文方法に逆指値(ぎゃくさしね)というものがあります。これは名前の通りに指値注文の逆を行う注文方法です。
指値注文は、◯◯ドル以下になったら買う、または◯◯ドル以上になったら売る、というものでした。
逆指値は指値の逆、つまり◯◯ドル以下になったら売る、または◯◯ドル以上になったら買う、というものです。
この逆指値注文の使いどころは、主に損切りです。損切りとは、保有する株が値下がりし始めたときに早めに売って、発生する損失を最小限にする取引のことです。
株を買った際に、買った株価の少し下くらいに逆指値注文を入れておく。そうすると、◯◯ドル以下になったら売る、の注文が入った状態ですから、株価が下がったら自動的に売却されるわけです。
売らずに放っておいたら、もっと株価が下がってもっと損失が大きくなっていたかもしれません。
でも投資家が株価を心配して一日中起きているわけにはいきませんから、この逆指値注文が大変便利となるのです。
PayPay証券には、このような便利な注文方法などありません。不便です。
逆指値注文は、3証券の中でもSBI証券とマネックス証券でのみ提供されているサービスです。上手く使いたいですね。
回数無制限で手数料無料の即時入金サービスがない
PayPay証券には、回数無制限で手数料無料の即時入金サービスがありません。これも不便です。
株式投資は普通、銀行口座から証券会社の証券口座へと資金を移して行います。
3証券では、主要なネット銀行(楽天銀行、住信SBIネット銀行、ジャパンネット銀行など)に口座を持っていれば、回数無制限で即時反映される銀行⇒証券間の送金を入金手数料なしで行えます。
いわゆる、即時入金サービスというやつです。
このサービスはネット証券であれば今や当たり前のサービスなのですが、PayPay証券にはありません。結構これも不便です。
代わりに「おいたまま買付」という指定した銀行口座にお金があれば、そこから動かさなくてもPayPay証券での買い付け余力に反映されるサービスがあります。
が、対応している銀行が大手都市銀などの古臭い銀行ばかりで、なおかつ「おいたまま買付」の場合取引の最低額が1万円以上に限定されるなど、何かと制限が多いです。
で、結局は前時代的な銀行振り込みでPayPay証券に入金することになります。不便というか、もうダサいです。フィンテックが聞いて呆れます。
PayPay証券ではつみたてNISAができない
PayPay証券では、NISAおよびつみたてNISAへの対応が一切ありません。
国民への投資の浸透を目的とした少額投資非課税制度(NISA)ですが、PayPay証券を使う限りまったくこの制度を利用することはできません。
NISA&つみたてNISAの解説記事です。
それがPayPay証券では一切の対応がないというのがどうも……。
PayPay証券には投資情報がない
PayPay証券では、相場情報や銘柄の情報などが、ほぼ見られません。ほぼ、というのは、1年も前の決算情報を簡単に載せたPDFが申し訳程度にあるだけということ。
これは、証券会社としては驚くべきことです。普通、証券会社は投資家に投資してもらいたくて色々と情報提供をしてくるものですから。
3証券も米国株の投資情報は各社積極的に提示してきます。米国企業の決算や業績が読めたり、銘柄の評価レポート、日刊、週刊、月刊の米国株相場レポート、等々です。
まあ、そういった情報さえあれば投資がはかどるというものでもありませんが、やはりないよりはあったほうがいいとは思います。
それに、圧倒的に使える情報ツールを無料で開放してくれている証券会社もあります。マネックス証券の「銘柄スカウター米国株」です。
銘柄スカウター米国株では、マネックス証券で取り扱いのある米国株と海外ETF3000銘柄余の業績や配当の情報を並列的に見ることができ、かつ条件を付けて銘柄をスクリーニングすることもできます。アホみたいに便利です。
マネックス証券の銘柄スカウター米国株の詳細はこちら。
取引はPayPay証券で、情報収集はマネックスの銘柄スカウターで、というようなことも全然可能なのです。
マネックス証券の口座開設はこちら。もちろん無料です。
取引手数料の意味合いが違う
これはPayPay証券の欠点というわけではないのですが、PayPay証券と他の3証券とでは、株取引の手数料について大きな相違があります。取引手数料という言葉の意味が異なるのです。
PayPay証券での取引手数料とは、株の買値と売値の差、つまりはスプレッドのことです。
PayPay証券で米国株を買うときに表示される株価は、市場価格より0.5%高い値段です。反対に売るときは市場価格よりも0.5%安くなります。
つまり、市場価格よりも常に少しだけ割高にしか買えないし、割安にしか売れません。その割高割安の差額部分がPayPay証券の取引手数料ということになります。
取引手数料が提示される株価に組み込まれているのが、PayPay証券のやり方です。ちょっと似ているのが、消費税の税込み税別の表示差です。PayPay証券は税込みなんですね。
対して、PayPay証券以外の3証券の取引手数料は、株価×株数の売買代金がまずあり、それにプラスして別に取引手数料が◯◯ドル必要となります。こちらは税別価格みたいなものです。
注意点は、例えばPayPay証券で1000円分の株を買うといった場合、取引手数料が株価にこみこみですから、実際買える株は0.5%を引いた995円分になります。1000円では1000円分の株は買えないんですね。
一方、3証券で1000分の株を買おうと思ったら、まずは株の代金1000円と、それとは別に取引手数料が5円必要となります。
この取引手数料の立場の差は、PayPay証券しか知らない投資家さんが、他のネット証券を使うとき結構面食らうと思います。でも、株取引の手数料としては圧倒的に後者の場合が多いのが現実です。むしろPayPay証券が特殊なのです。
そのことはぜひ覚えておいてくださいね。
ちなみに、取引手数料の高い安いということについては、上記の手数料の立ち位置の根本的な違いもあって比較しづらいところですが、PayPay証券と3証券で体感的に大きな差はない、とぼくは思っています。
PayPay証券の取引手数料が、売買代金の0.5%(取引時間外だと0.7%)。
他3証券の取引手数料が、売買代金の0.45%で、取引手数料自体に上限が設けられており、最大でも20ドルとなっています。
PayPay証券には取引手数料の上限はなく(青天井)、また為替手数料的にも不利であることから、PayPay証券のほうが数字上は取引コストがかさみます。
PayPay証券を入り口に他の証券会社も
以上、PayPay証券では当たり前なことも、他の証券会社では非常識なこと一覧でした。
PayPay証券は確かにこと少額投資をするに関しては、使えます。かなり尖ったユニークなサービスを投資家に提供しています。
反面、他の証券会社では無料で提供されているような機能やサービスが、当たり前のようになかったりもします。
両方を知るぼくのような投資家からすると、PayPay証券で米国株投資を始めて、そのままPayPay証券だけで米国株投資を完結させてしまうのは、実にもったいないことのように思えます。
PayPay証券にはない便利な機能やツールが、PayPay証券外にはたくさんあります。それをPayPay証券ユーザーに知ってほしくてこのような長ったらしい記事を書いてみました。
今回登場してもらった3証券は、どれも最前線で使っていける高性能なネット証券です。どの証券会社も口座開設は無料でできるので、これを機会に口座を作ってみてはいかがでしょうか。
そしてできたら、3証券でガチの米国株投資を経験してみてくださいね。PayPay証券のカジュアルな感じとはまた違って、本格派な、米国株投資がそこにはありますから。
楽天証券
以上、米国株投資に惚れている、オザワークスでした。
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