オザワークスです。
ちょっと前にはやった毎月分配型の投資信託といわゆる高配当銘柄。両者の危険な共通点についてです。
高い配当利回りにつられて手を出してしまうと、とんだ火傷をするかもしれません。
もくじ
毎月高い配当金を支払う投資信託が人気だった
日本では、ほんの数年前まで毎月配当金を支払う、毎月分配型の投資信託が人気でした。
投資信託とは、基本です。
配当利回りとは。
毎月分配型投資信託のカラクリ
投資信託は、投資家から資金を集めて運用し、利益を出すのがその役割です。配当金を払うにしてもその利益の中から払う分には投資家にとって損はありません。(税金は抜かして)
ところが、結構な割合の毎月分配型投資信託が、その高い配当利回りを実現&継続するために元本を取り崩して配当金を支払っているのです。
元本とは、投資家から集めた資金そのものです。その資金を配当金として投資家に配る。これは何だ?
投資家は投資信託に投資する。その投資した資金が税金を引かれたうえで、投資家の元へ「配当金」として戻ってくる。
これが続くとどうなるかというと、投資元本が減っているわけですから投資信託の規模は配当金を支払うたびに縮んでいくことになります。フーセンが萎むみたいにです。
何の意味もない行為です。
はっきり言ってインチキみたいな話ですが、実際こういう投資信託が今でもあります。
運営会社だけが儲かる仕組み
そういった投資家にとって意味のない投資信託でも、運営会社が何で辞めないかというと旨味があるからです。
投資信託は、投資家が保有する限り運営者に信託報酬が入ります。これが理由です。
信託報酬とは、大事です。
たとえそれで投資元本が減ろうが何しようがね。
投資信託のビジネスはそういう側面が多分にあります。
高配当投資はとても「難しい」
さて、大して儲かってもいないのにジャカスカ配当金を支払い続ける哀しみの投資信託とよく似た構造を持った株式投資があります。
高配当銘柄投資です。
いわゆる高配当銘柄は、買って持っているだけで毎年高い配当金をもらえる株です。
毎年楽に稼げるからそれでいいじゃないか、と言いたくなるのですが、実はそうは言えないとても難しい投資が、高配当投資です。
どう難しいかって?
その魅力を見つけるのが「とても難しい投資」という難しさです。
理屈の上で、配当は百害あって一利なし
株主に配当金を支払うこと自体が、実は税金面で不利であり、株価を押し下げてしまう効果があり、また企業の成長をも阻害してしまうことは過去の「アンチ配当投資」の記事で散々書きました。
その百害の配当金をさらに多く出そうってんだから、高配当銘柄はより一層歪な存在なのです。
高配当銘柄の実態
企業活動の結果、多額の利益を上げた。だからその一部を株主様にお返しする。これが配当金の一応の建前です。
ところが、高配当銘柄のすべてとは言いませんけども少なくない割合の企業は、高い配当金を出すことがまず目的としてあって、あとはそのためのお金をどう工面するかが経営となっている場合があります。
配当金のためのお金を集めることが経営なんです。
そのために経営者はもう何でもやります。配当金を支払うだけの利益が足りない場合は、企業の預金をもちろん配当に使います。
これによって設備投資のためのお金が無くなって、企業の成長力が失われます。
それでも配当金のお金が足りない場合は、企業の資産を売ります。土地や建物、様々な権利などです。
企業の資産は事業をするための道具ですから、仕事道具を売り払ったことでその企業のビジネスが弱く小さくなります。
それでも配当金のための現金が足りない! そうなったら最後の手段です。
借金をして、そのお金を配当金として株主に配ります。
こんなの意味あるのでしょうか?
でもそういう企業もあるのです。
毎月分配型投資信託と高配当銘柄、縮小の類似性
こういう高配当銘柄、何かに似ていませんか?
そうです。先に紹介した毎月分配型の投資信託とよく似ています。
投資信託は個別の企業よりももっと直接的に自分の体を切り刻んでそれを配当金にしていましたが、高配当銘柄の一部で行われていることも大体一緒です。
結果として、配当金を出せば出すほど自分が縮んでいく。縮小していくところも同じです。
高配当の行きつく先は、投資信託ならファンドの解散であるし、個別の企業であれば倒産まではなかなかないにしろ、普通に減配するか無配に転落です。
ない袖は振れない。無茶は続かないのです。
危険な高配当銘柄の避け方
では、そういった無理して配当を出している危険な高配当銘柄をどうやって避けるのか。
理屈の上では、配当金が企業の利益を下回っていれば潰れることはありません。
ですから、1株当たりの利益(EPS)と1株当たりの配当額をよく見ておきましょう。特に楽天証券で簡単に見られます。
ただし、企業の経営は常に順調というわけにはいきません。ときには赤字となる年もあります。
そして特に米国企業は、そういう赤字のときでも簡単に配当金を減らしたりしません。やっぱり無理しちゃうんですね。
風邪気味でもがんばって会社に出勤してしまうお父さんに似ています。
でも、無理がたたって突然の過労死、という事態も起こりえるので、笑い事では済まないのです。
なんか脱線しかかっていますが、とにかく単純な「高配当」「高利回り」を謳う投資には気を付けましょう。
高配当は甘い蜜の香りです。中身は毒かもしれません。
毒を飲み過ぎて常に全身が痙攣しているオザワークスでした。
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