オザワークスです。
米国株投資家の皆さん、配当利回り気にしていますか? ぼくは大変気にしています。だってより高い配当利回りの銘柄に投資したほうが、より多くの配当金がもらえるんですもの。
でもそんな配当利回り、信じて良い利回りと信じちゃいけない利回りがあることをご存知ですか?
ナニソレ? という方、表示されている配当利回りを素朴に信じてるだけの配当投資じゃアカン、のですよ。
もくじ
信じて良い配当利回りとは?
各証券会社や投資情報サイトなどで、銘柄の配当利回りは手軽に確認することができます。
でも、そこに表示されている配当利回りって、本当に正しい数字なのでしょうか?
結論から行きますけど、信じて良い配当利回りとは、定期的に増配しているか、あるいは配当額に変化がない銘柄の配当利回りです。
キレイに増配する【T】AT&T
変化のない【STX】シーゲイト・テクノロジー
こういった銘柄の配当利回りは、大抵の証券会社などで表示されている数字をそのまま信じても問題ありません。
確かに表示元によって若干の違いがあるかもしれませんが、多くの場合それは微差です。大勢に影響はありません。
信じて良い配当利回りの銘柄は、配当額が安定していて定期的に増配するか、増えも減りもしないか、です。
信じてはいけない配当利回りとは?
では信じてはいけない配当利回りとはなにかと言えば、こういう感じの配当の払い方をする銘柄の利回りです。
【RWX】SPDRダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステートETF
支払い配当額が、頻繁に増えたり減ったりしています。こういう銘柄の配当利回りは、危ない。
証券会社等で表示される配当利回りは、直近1年間で支払われた配当額と現在の株価を計算させて出した数字です。
ということは、ここ1年間高い配当金を出した銘柄が、次の配当はガクンと配当額を減らしても、表示される配当利回りは高いまま、ということになります。
これが高配当利回りの罠です。
上の【RWX】SPDRダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステートETFの配当グラフをもう一度見てもらうと、2016年12月にRWXはとてつもなく高い配当を出しました。
その2016年12月を含む期間で配当利回りを計算すると、利回りはとてつもなく高くなります。
しかし、RWXのバカ高い配当はその1回だけで、次の配当では大きく額を減らし、その後も増えたり減ったりを繰り返して安定しません。
RWXの魅力的に高い配当利回りの「表示」をそのまま素朴に信じて投資してしまった人は、期待以下の配当額にきっと涙することでしょう。
「信じてはいけない利回り」=「正しくない利回り」
信じてはいけない配当利回りとは、正しくない配当利回りのことです。
配当利回りの計算の方法上、配当額が上下する銘柄の配当利回りは、正しくない場合があります。
正しくないこと自体にも問題は当然ありますが、これはまあ仕方がない。そういう計算方法なので。
計算方法は変えられないので、投資家の側が考えを改める必要があります。
証券会社や様々なサイト等で表示されている配当利回りなる数字は、過去の配当額をもとにしたものであり、未来の利回りを約束したものではないということを。
では未来の利回りは誰が教えてくれるのか?
それは自分で考えるしかありません。
未来の配当利回りの割り出し方
表示されている配当利回りはあくまで過去の配当を映したもの。正直あまりあてにはできない。
しかし、未来の利回りを予想するには、結局過去の配当を見ていくしかないんですね。皮肉なものです。
連続増配銘柄の【T】AT&Tやまったく増配しないけど減配もしない【STX】シーゲイト・テクノロジーなどは、未来の配当額の予想が比較的簡単です。
こういった「信じられる配当利回り」の銘柄は、表示されている数字そのままの利回りです。
特に増配銘柄などは、現在よりも配当額が増えていくわけですから、むしろ将来的な配当利回りは現在よりも上振れます。
一方、配当額が増えたり減ったりジグザグな【RWX】SPDRダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステートETFの未来予想は、困難です。
コイツラは現在の配当利回りですらも正しいのかどうかよくわからんような有様ですから、未来の配当利回りなど夢物語です。
見るべきは配当の方向性。今後配当が増えていきそうなのかどうか
しかし、これは配当額が増えたり減ったりの銘柄は皆ゴミ、ということではありません。
個別株で頻繁に増配と減配を繰り返す銘柄は皆無ですが、ETFではむしろそれが普通です。ではすべてのETFがゴミかと言えば、そうではありませんね?
要は、支払う配当額の変化にある種の方向性があるかどうかです。
これを見てください。これはぼくも投資している、【SPY】SPDR S&P500ETFという世界を代表するETFの配当グラフです。
細かなアップダウンはあるものの、長い目で見れば緩やかに配当額を上げていってるのがわかります。
同じようにアップダウンしていても、今後の配当の方向性が読み取れない【RWX】SPDRダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステートETFとはそこが違います。
ETFの配当額は大抵の場合細かく上下しています。そのため、単年で見ると配当が減っているかのように見えることもあります。
ただ、数年単位で見てあげると、SPYのように緩やかな増配の方向性を持っているETFもたくさんあります。
SPYのように緩やかな増配基調にある銘柄の配当利回りは、十分に信じても良い配当利回りであるとぼくは思います。
直近1年間の配当額で表示される配当利回りは決定されます。ETFへの投資を考える場合、過去から未来への配当額の変化の流れを見極めたいですね。
年2回配当の銘柄は、配当の方向性も見えづらい
表示される配当利回りと、配当額の実態とその方向性との齟齬で言えば、配当回数が年間2回以下の銘柄はまた別の問題を抱えています。
米国株の主流である年4回配当の銘柄と比べると、年1回や2回配当の銘柄は、回数が少ないだけに1度の配当額が大きいです。
しかしその分、配当額が減る場合も大きく減らしている印象です。つまり、そのたびに配当利回りは乱高下します。
そして、そういった銘柄の配当利回りの計算に使われるソースは、年2回、または年1回とソースも少ない。
年4回銘柄の配当利回りと比べて、利回り計算のためのサンプルの少なさも利回りが「狂う」原因です。
下のグラフは、【EWA】iShares MSCI Australia Index Fundというオーストラリアの株価指数に連動するETFの配当の推移です。
EWAは年2回配当で、当然のように配当額は毎回上下します。その幅も、多いときは$0.70かと思えば、少ないときは$0.30程度と倍以上差が開きます。
配当を多く支払っているときに表示される配当利回りは高くなり、少ないときには低く抑えられます。
そして未来の配当額が読めないので、未来の配当利回りもわかりません。
年4回配当は、点と点がつながって配当の方向性がわかる
年4回配当の銘柄では、配当額に多少の上下があっても、配当という点がつながってこの先増えるのか減るのか、大まかな配当の方向性という線が見える場合もありました。
SPYの場合ですね。
ところが年2回や1回の配当銘柄では、配当同士が時間的に離れているために点が点のまま存在してしまい、その方向性が定まりません。
いえ、定まらないというか、定まるのに倍の期間が必要になる感じです。年2回配当の銘柄は、年4回の銘柄よりも長い目線で調べていかないと、より正しい配当利回りにはたどり着けません。
ここが年2回配当の問題ですね。
年2回配当の銘柄にわざわざ投資する理由はない
配当狙いの投資で年2回配当の銘柄に投資するのは難しいです。
そんなことないよ、平気だよ、と言える人はメンタルの強い投資家です。
高い配当利回りの表示を信じて投資したのに、次の配当からガクッと金額が下がったりしたら、それはやっぱり辛いですよ。
なのではっきり言っちゃいますけど、年1回とか2回とかしか配当を出さない銘柄にわざわざ投資する必要は無いですね。
年4回配当以上の銘柄で十分事足ります。年2回が年4回に勝ってる要素は、何一つないですね。
自分も含めて、それでも年2回配当の銘柄に投資するのは、はっきり言って趣味の問題。
もしも投資する銘柄選びに迷うようであれば、まずは配当の回数を年4回以上限定にして、それ以外をバッサリ切ってしまうのもありかもしれません。配当利回りとかを考える前にね。
そんな提案。
まとめ。増配基調の年4回配当の銘柄に投資しろ
まとめです。
表示されている配当利回りには、信じて良い数字と信じてはいけない数字がある。
信じて良い配当利回りは、増配銘柄などの配当額が安定している銘柄の配当利回り。
逆に信じてはいけない利回りは、配当額が激しく上下する銘柄の利回り。理由は、正しい数字でない可能性があるから。
配当の安定した銘柄は、未来の利回りも予想しやすい。逆に未来の配当の方向性が読めない銘柄は、利回りの予想自体が困難。
特に年間配当回数が1回や2回の銘柄は、配当の方向性の読めなさで言えば年4回配当の比ではなく、失敗したくない投資家であればわざわざ手を出す必要はない。
結論、増配基調の年4回配当銘柄に投資しろ。
となります。
「信じてよい」「信じてはいけない」というややショッキングな語句で導入しつつ、理屈をこねてこねて、最後は年2回配当銘柄をディスって終わるという、相変わらず強引な記事です。
最近年2回配当の銘柄を否定しなくてはならない事情を抱えている、オザワークスでした。
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