オザワークスです。
投資用語解説、今回はサーキットブレーカーについてです。
サーキットブレーカーとは?
サーキットブレーカーとは、株式市場において相場の急激で大幅な変動が起こった場合、強制的にすべての取引をいったん停止する仕組みのことです。
2020年3月の米国株相場などがまさにそうなのですが、株式市場ではいったん売りの勢いに火が付くと、誰も彼もが我先に売りに走ることがあります。売りが売りを呼ぶような状態です。
このような状態を放っておくと、短時間で無制限に株価が下がってしまい、実際的な企業価値との間に不自然な乖離が生まれてしまいます。
そのようなヒステリー状態を緩和するために、株価指数が一定時間に一定以上変動した場合、強制的に株式市場全体の取引を止めてしまうのが、サーキットブレーカーです。
いったんすべて止めて、取引に参加する投資家たちに落ち着きを取り戻してもらおうということです。
サーキットブレーカーは、それぞれの個別銘柄の値動きでは発動しません。その株式市場を代表するような株価指数(S&P500や日経平均)がどれくらい変動したかが、発動のトリガーとなっています。
株式指数とS&P500の解説です。
しかしながら、日本の東京市場にはサーキットブレーカーが現在でも存在しません。
サーキットブレーカー導入のきっかけは「ブラックマンデー」
せっかくですので、米国株のサーキットブレーカーについてもう少し詳しく説明します。
米国でサーキットブレーカーが導入されたのは、1987年10月に突如として起こった株価の大暴落「ブラックマンデー」を切っ掛けとしています。
ブラックマンデーでは、たった1日で米国株が22%も暴落しています。
ブラックマンデーを経験して、多くの人が「こりゃ機械的に止めるとかしないとヤバいぞ」と思ったのでしょうね。そうしてサーキットブレーカーは生まれました。
米国のサーキットブレーカー詳しく
米国株のサーキットブレーカーは、その対象をニューヨーク証券取引所とナスダックとしています。基準となる株価指数は、S&P500です。
米国株のサーキットブレーカーは、株価指数の下落の深刻さに応じて3段階用意されています。
- レベル1・S&P500が前日の終値より7%下落したら15分間取引を停止する。
- レベル2・S&P500が前日の終値より13%下落したら15分間取引を停止する。
- レベル3・S&P500が前日の終値より20%下落したらその日は取引を停止する。
この3段階です。本当なら発動条件に「時間帯」もあるのですが、ややこしいのでここでは省略しています。
レベル1・2・3はそれぞれ順番に発動します。
ある日の米国株の暴落を例に取ると、その日の取引を開始して前日終値より7%下落すると、まずはレベル1が発動。15分間取引が全面的に停止します。
15分後取引再開。しかし株価の下落は止まらず、前日終値より13%下落すると今度はレベル2の発動です。再び15分間取引が停止します。
15分後、再び取引再開。しかししかし、株価の下げは止まることなく、とうとう前日終値より20%もの下げ幅を記録しました。ここでついに最終奥義のレベル3発動です。
レベル3が発動すると、その日はもう取引終了です。お疲れさまでした。帰りに一杯、という気分でもないですね、きっと……。
1日で20%の暴落というのは、うーん、どのくらいの絶望感なんでしょうね。
2020年3月16日に起こった、ダウ平均が2万3000ドルから2万ドルへと1日で落っこちた下落でも、10%ちょっとの下落率です。
20%というものがどれほどの事態か、ほんの少しだけわかるような気がします。
サーキットブレーカー無意味説
上でも述べたようにサーキットブレーカーは、株式市場と投資家が壊れてしまわないようにと導入されたものです。
ですが、ぼく個人としては、そんなもの大した効果はないと考えています。
サーキットブレーカーは、相場が下がりすぎたので単に取引を一定時間停止するだけです。発動以後はむやみやたらに売ってはならない、というような強制力はありません。
なので、取引が停止している間も投資家たちは「売るぞう! 売るぞう!」と売り狂ったまま、取引の再開を待っているだけです。
その状態で取引が再開されれば、十中八九また売られるだけです。で、また取引が停止する。
何の意味があるのかなあ、とぼくなどは思ってしまいます。ちょっとの間取引を停止したくらいでは投資家たちは冷静になんてなりませんね。
あと、最近では特にプログラムによる自動売買も増えてきていると聞きます。
こういった機械による取引は、それこそ機械的に取得価格より◯%下がったら売却する、というようなプログラムを何のためらいもなく実行します。
そういったプログラムによる自動的な売りが重なって株価を大きく下げている場合も、サーキットブレーカーでいったん冷静になれ、なんて効果があるわけがありません。
でもしかし、じゃあサーキットブレーカーに変わる何か有効な手立てがあるのか、と聞かれればないのが現実です。
問題があっても、とりあえずはサーキットブレーカーに頼るほかなさそうですね。
最後の章は用語の解説からは少し離れてしまいました。この辺で終わります。
オザワークスでした。
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