オザワークスです。
投資の世界では、株が下がると債券や金が上がる、と言われています。
がしかし、3月10日以降債券や金も株と一緒になって下がっています。
この謎現象が何なのか、考えてみました。
もくじ
よく聞く、株が下がると債券が上がる
株式投資の世界では、株価が不安定になって下がり始めると債券や金が上がる、と言われています。
実際そうだと思います。
2020年2月の終わりから始まった世界的な株安と混乱の中でも、債券や金の価格は上がっていました。
株安の中、ぼくも保有していた、【TLT】iシェアーズ米国国債20年超ETFという長期の米国債に投資するETFを利益確定売りしています。
いや、それが自慢だとか、そういうことが言いたいんじゃなくて、「その後」にちょっと面白い動きが出てきています。
3月10日以降は、株が下がると債券も下がる
ぼくが米国債ETFのTLTを売って儲けたのは、3月9日でした。
その後、皆さんもご存じのように米国株はさらに苛烈な下げを見せてくれています。
単純に考えれば、株が下がれば債券は上がるわけだから、3月9日以降むしろTLTはさらに上昇しているはず。
と、思いますよね?
ところが、その3月9日をピークにしてTLTはちょっとずつ下がっていっています。
これホント。チャートで見てみましょう。
TLTの月間チャート。
ダウ平均のシンクロチャート。
2月24日からダウ平均が落ち始め、反対にTLTは緩やかに上昇をしていきます。
そうして3月9日にTLTは瞬間的に180ドルに跳ね上がり、ここがピークです。その後は、暴落とまではいきませんが、下げています。
一方のダウ平均は、なすすべもなく真っ逆さま。こちらは間違いなく暴落です。
3月10日以降、「株が下がると債券が上がる」が、「株が下がって債券も下がる」になっているのがわかるかと思います。
金(ゴールド)も下がり始めた
もう一つ、「有事の金」などと言われるように、金(ゴールド)も株価と反対の動きをすると言われています。
その金がこの1ヶ月どういう動きをしたのかが、こちらです。
金現物の月間チャート。
米国株がおかしくなった2月24日以降、まさに「有事の金」の動きで上昇を続けていた金ですが、それも3月9日をピークに下落に転じています。
今まさに「有事」のはずなのですが、金価格も株と一緒になって下がっています。
株が下がると債券や金が上がる、の理屈
この債券と金の不可解な動き、これは一体どういうことなのでしょうか?
ぼくも専門家ではないので確たることは言えませんが、株が下がったときにどうして債券や金が買われるのかを考えるとある程度予想はできます。
株価が落ちて債券価格、または金の価格が上がるのは、株を売ってそのお金で債券や金が買われるからです。
何故そうするのかと言えば、債券は株と比べて価格の変動が少なく、株よりも儲からないけれど損もしづらいと言われているからです。
同じように、金は企業のように倒産の危険性がまったくなく、その価値がなくなることは永遠にありません。
つまり、株という大損する危険性のあるものから、比較的安全と言われる債券や金に乗り換えている、移している、ということです。投資家も人間ですから損をしたくないんですね。
株が下がると債券や金が上がるのは、この理屈で説明が付きます。より安全な資産へお金が動いていくわけです。
株が大暴落するとビビって債券や金まで売られ始める
しかし、3月10日以降に見られる現象は、株はもちろんのこと、安全であるはずの債券や金でさえも下がっていることです。
これが何故なんでしょう?
ここからはぼくの想像になりますが、3月10日以降も米国株はより速度を増して下がっていっています。ダウ平均が1日1000ドル下げていたのが、1日2000ドル、3000ドルとその下げ幅をより広げています。
10年前のリーマンショックレベルの狂ったような株安です。まさに暴落。
この状況を見て、それまで株を売って債券や金に換えていた投資家たちが、こりゃ本格的にヤバいぞ、と頭を切り替えたのではないでしょうか?
債券や金ももはや安全ではないかもしれない。
だったら債券や金も今のうちに売っておこう。
これが3月10日以降、債券や金すらも値下がりしていってる理由のような気がします。
株安があまりにも進み過ぎると、普段は安全資産と言われている債券や金でさえも売りに出されてしまう。
今回の株安のすごさがそれだけでも何となくわかる気がします。
大暴落のときは、現金が王様
株はヤバい、債券や金もついにヤバくなってきた。それらが下がっているということは、それらを買う人よりも売る人のほうが多いということです。
株や債券や金を売ると、当たり前ですが手元にお金が残ります。売れば売るほど、手持ちのお金は増えることになります。
さあでは、そのお金はどうするのでしょう?
多分、どうもしないんだと思います。
投資家が普段株や債券や金を買うのは、そうして運用した方が得だからです。現金というものは、基本的にほとんど利益を生みません。
でも大暴落のさ中では、もはや運用どころではない。
恐怖の中で株も債券も金をすべて売っ払って、投資家はただただ現金の入った金庫を抱えてこの嵐が通り過ぎるのを待っています。
株が大暴落すると、投資家が信じられるのは現金のみになってしまうんですね。
今、王様は、現金です。
株の暴落は段階的に進む
今回のコロナショック暴落を見ていて気付いたことがあります。
株価の暴落って、段階的に事態が進んでいくんですね。
暴落の進行が進めば進むほど、投資家たちの動きもまた変わってくる。そのことをぼくは知りました。
簡単に書くと、まず株の暴落ごく初期では、投資家たちの期待を一身に背負っていたイケイケのハイテク株などを中心にして売られます。アマゾンとかですね。
その後、配当が高くてディフェンシブと普段言われている株も売られ始めます。ディフェンシブとか言ってても売られるときは容赦なく売られます。業種で言えば、公益や通信、製薬などでしょうか。
この段階ではまだ、株価が下がっても債券や金の価格は上昇しています。投資家の緊急避難先としてまだ機能しているわけですね。
さらに株安が進んで全面的にダダ売りされるようになります。業種とかセクターとか、配当のあるなしに関係なく、株というだけで即売却処理されるようになります。暴落と呼ばれるのはこの辺からですね。
この辺りまで来ると、いよいよ世の投資家たちは総悲観モードになりまして、債券や金まで投げ売りされ始めます。株価も絶望的に下がっており、今ちょうど我々が立っているのがこの辺りですね。
現金が最強、という状態です。
現金が最強、は暴落の最終段階?
はい、では現金が最強の現段階の次は、どうなるのでしょうか?
うーん、こればっかりはぼくも経験がなくてわかりません。
株安がここで止まるのか、それともまだ落ちるのか。落ちた場合、投資家が抱える大量の現金はどうなってしまうのか。
まったく予想が付きませんね。
いずれにしても、早いところ落ち着きを取り戻してほしいものです。
では。オザワークスでした。
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