オザワークスです。
投資用語解説の時間です。今回は、株式の額面についてです。
株式の額面とは何か?
企業が株式を発行してそれを投資家に売るのは、事業資金を手に入れるためです。
企業はタダで自分の会社の株式を発行します。それを1株いくらで投資家に売ります。株を売った代金は会社のものです。お金は企業の経営に使いましょう。これです。
注目すべきは、企業が投資家に株を売るとき、1株いくらでといった、この「いくら」の部分です。
これが今回解説する株式の額面になります。
昔は発行された株に値段が書いてあった
ときははるか昔、まだ株式市場もないころまでさかのぼります。
当時、企業は株式を発行するときに「株券」と呼ばれる紙でできた券を作っていました。まさに「発行」です。
株券には値段が書かれていて、その値段で投資家は会社から直接株を買い、株主になっていました。
その株券に記されていた値段が株式の「額面」です。
額面をいくらにするのかは企業の自由です。1000円でも1万円でもOK。投資家の側がそれで買うかどうかを決めるだけです。
当時の株式投資は仕組みが単純で、投資家が投資した額面=金額が株の価値でした。
おそらく「額面」という概念さえもなかったことでしょう。
株価と額面、株についた二つの値段
時代が進むと、株式が取引所で売買されるようになってきます。
投資家が株式を自由に売ったり買ったりできるということは、株式に売ったり買ったりする用の値段が付くということです。
これが株価です。
株価は、現在と同じように企業の業績や将来性や取引の状況などによって、毎日コロコロ変わります。
1株の価値は秒単位で変化するものになりました。
一方、株券は依然と同じように値段が書かれて発行されます。
1株=500円、とか株券には書いてあるわけです。
ここで、なんか変だぞ? と思いませんか?
1株の価値は、株式相場で投資家たちが取引で決めるものです。そしてそれは刻一刻と動きます。
一方で企業が発行する株券には「額面」の500円なり1000円なりという数字が印刷してあります。これも株式の価値です。
同じ企業の株なのに、二つの値段が付いていますね。
これはおかしい。
このおかしいところから「額面」という言葉が出てきたのだと思われます。
額面には意味がない
実際に二つの株の価値のどちらが正しいのか検証してみましょう。
株式市場に上場している企業が、追加で株券を発行すると仮定します。企業はタダで株券を発行して、額面は500円として株式市場で売りに出してみます。
しかし、このとき株式市場でのその企業の株価が400円であった場合、投資家は誰一人として500円ではその株券を買いません。
だって皆さん、他の投資家から同じ株を400円で買えるんですよ。なにを好き好んで500円で買う人がいましょうか。
で、結局、株を発行した会社も額面500円の株券を400円で売らざるを得ないことになるのです。だって、売れないと会社が得られるお金はいつまでも0円ですからね。それでは株を発行する意味がない。
つまり、株式市場での「株価」と株券の「額面」では、株価のほうに実際的な価値があることがわかります。
もっと踏み込んで言うと、額面に1000円1万円と書いてあっても、株価が400円ならその株の価値は400円なんです。
株価という数字がある以上、額面の数字には何の意味もなくなってしまったのです。
だから、所詮は「額面」なのです。
今はもうない、株式の額面
日本では2001年、株式の「額面」というものが制度的にも終了しています。ですから今株式市場を飛び交っている株たちには、そもそも額面などというものは存在しません。
額面は過去のものです。
ついでに「株券」と呼ばれる券ももうありません。かつては紙で印刷されていた株券も今ではすべて電子データになっています。
より早く、より大量に、より効率的に。株式投資の進化の側面をこういうところからも垣間見ることができますね。
というわけで株式の額面の解説でした。たまには株式投資の歴史を紐解いてみるのもオツなものですよ。
オザワークスでした。
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